満田誠だからこそ。「それ以外のポジションなら…」
「真ん中に行った方がボールに関わる回数は多いし、自分もゴールに近づいていくプレーが得意。そこを考えると真ん中の方がいいですね」と満田自身は本職のやりやすさを感じたようだ。
けれども、チームとしてはどうしても1点が奪えない。終盤になって川崎が最終ラインを4枚から5枚に変えたこともあり、広島はエゼキエウら攻撃の駒を続々と投入。満田を再び左WBに移し、サイドアタックを強化。ブロックを崩そうとした。
90分の中で左WB→ボランチ→シャドー→左WBと目まぐるしくポジションを変えながら、高いパフォーマンスを出すというのはハードルが高い。が、スキッベ監督は「マコはGKをやるには小さすぎる(笑)。ただ、それ以外のポジションならアグレッシブさ、ずる賢さはどこでも通用する」と信頼。万能性を高く評価しているからこそ、こういった使い方ができるのだ。
その満田は最後の最後に期待に応える大仕事をしてみせる。後半43分、左サイドでボールを受けるとエゼキエウにいったん預け、リターンをもらって中にドリブル侵入。強引に遠目から右足シュートを放ち、貴重な同点弾を叩き出したのだ。
「相手もDFを1枚増やして守りに入っていたので、逆に前のスペースが空いていた。そこに味方の選手が入ってきてくれたので、自分はしっかりパス出して、動き止めずにボールが来ることを信じて走ったので、ワンテンポずらしてボールを受けることができた。相手のDFもちょっと反応が遅れたし、いいコンビネーションだったのかなと思います」と背番号11はフィニッシュに至る前のエゼキエウとの関係性が決め手になったと考えていた。
これにより、試合は1−1で終了。満田は起死回生の同点弾で復活への一歩を踏み出したと言っていい。前述の通り、今季はケガもあってコンディションがなかなか上がらず、5月以降は定位置を失うという苦境に直面したからだ。