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セリエA 5日前

「辞めようと思ったことは…」イタリア代表、カラフィオーリの“軌跡”。EUROの主役は、絶望の淵から這い上がった【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

カラフィオーリの価値を見誤った



 20/21シーズンも、1月14日までにセリエAの6試合に出場していたが、ジョゼ・モウリーニョ監督に見限られ、冬の移籍市場で、ジェノアへとレンタル移籍。そして、シーズン後に、転機が訪れる。バーゼルへの完全移籍だ。当時は、フロジノーネやクレモネーゼからの関心も噂されていたが、最終的にスイスの強豪クラブへの移籍が決まった。

 ボローニャでの飛躍により、23/24シーズン終了後には、3000万ユーロ(約48億円)の価値がついたと言われていた。さらに、ユーロ2024でのセンセーショナルな活躍で、評価は一層高まり、移籍には4000万ユーロ(約64億円)以上が必要とされている。しかし、バーゼルからローマに支払われた移籍金は、たったの150万ユーロ(約2億4000万円)。将来的に移籍が成立した場合、さらに移籍金の40パーセントが支払われるオプションもついていたが、それでも目を疑うほどの少額であることには変わりない。

 それは、今からわずか2年前のことだった。当時のローマのゼネラルマネージャー、チアゴ・ピントも、フィジカルの強さと左足の精度の高さを持つカラフィオーリをある程度は評価していたが、サッカー選手の生命線であるひざに大けがを負っていたことで、コンディションに不安があるとみなしていた。その上、ローマは、その頃、2000万ユーロ(約32億円)ものキャピタルゲインを得る必要があったため、こうして、カラフィオーリはその一駒として売却された。

 カラフィオーリの価値を誤ったのはローマだけではない、インテルもミランも、そして、今のカラフィオーリの獲得を目指すユベントスも、その時は才能に惚れ込むことはなかったのだ。それは、若手の起用を渋るイタリア全体の問題でもある。

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