イングランド代表(グループC)
【写真:Getty Images】
グループリーグ成績:1位(1勝2分0敗)
イングランド代表は「グループCを首位通過した」事実以外は課題だらけだ。実際に1勝2分での首位通過であり、他のグループでトップに立ったドイツ代表やスペイン代表などと比較をすると、内容で圧倒的に劣っている。
本来イングランド代表の最大の強みは「攻撃力」と思われていた。2023/24シーズンのブンデスリーガ得点王ハリー・ケインにプレミアリーグ年間最優秀選手のフィル・フォーデン、ラ・リーガ年間最優秀選手のジュード・ベリンガムら、豪華な攻撃陣が前線に並んでいる。
しかし、3試合でわずか2ゴールに留まるなど得点力不足が露呈。いずれの試合も選手の個の部分で何とか負けずに済んだが、チームとしての機能性は今大会に出場したチームの中で下から数えた方が早いだろう。
何よりスカッドバランスが悪く、各々の個性を消し合っている。その代表例が左サイドの組み合わせで、内側に絞るフォーデンと本職右SBのキーラン・トリッピアーを組み合わせたところで、ワイドで脅威になる選手がいない。他にもロングボールが持ち味のトレント・アレクサンダー=アーノルドをスタメンに起用しながら、裏抜けするタイプの選手がスタメンに誰もいないため彼の良さが出ない。ガレス・サウスゲート監督が思うベストメンバーではなく、まだ他の選手を試していた開幕直前の親善試合の方がチームとして機能していた。
この責任は指揮官にあるだろう。経験をベースに市場価値が高い順に各ポジションに選手を配置したところで、それぞれの特長を考慮していないことから選手の良さが発揮されない。本来は不動のスタメンで起用したい選手でも、覚悟を決めてベンチに置き、よりチームとしての流動性が生まれる形にしなければ決勝トーナメントを勝ち上がる未来は見えてこない。