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セリエA 6日前

鎌田大地との破局は必然? ラツィオとの長期契約=監獄化の実情。負の連鎖を生み出してきたロティートの手法【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

「ロティート、ラツィオを手放せ」

ラツィオのクラウディオ・ロティート会長
【写真:Getty Images】



 6月3日、2025年6月30日までの契約を締結していたイゴール・トゥドール監督も辞任。鎌田をどれほど高く評価していたかが、伺える電撃辞任劇だった。こうして、主力のL・アルベルトや鎌田に加えて、指揮官までも失ったラツィアーレ(ラツィオのサポーター)たちの怒りの矛先は、ロティートに向かう。

 6月15日、ローマ市内で、ラツィオの新スタジアム計画が持ち上がるフラミニオ・スタジアム周辺にサポーターが集結。警察の発表では、約6000人となっていたが、1万人は集まっていたのではないかと報じられるほどの数だった。

 ウルトラスだけでなく、子供や女性を含めた一般的なサポーターの姿もみられた。平和的に行われた大抗議集会だが、言葉は激しく「ロティート、ラツィオを手放せ」のスローガンが、何度も発せられていた。ラツィオは近年、2000万ユーロ(約32億円)を超える移籍金での獲得がない。大枚をはたいて、選手を獲得して、黄金時代を築いた前任のセルジョ・クラニョッティ前会長の経営手法とは真逆を行く。良い言い方をすれば健全、悪く言えばケチだ。

 2015年には、イタリア監督協会から「ファイナンシャル・フェアプレー」賞を授与されたこともある。それでも22/23シーズンのセリエAでは、スクデットを獲得した99/00シーズン以来の最高位となる2位に入った。17/18シーズンには、スーペルコッパを、18/19シーズンにはコッパ・イタリアをそれぞれ制している。ロティート会長の経営手法は評価されてもおかしくない。

 しかし、23/24シーズンは、7位で終え、欧州CL出場権を得られず。そして、中心選手と指揮官までもが去ってしまったことが、多くのサポーターの逆鱗に触れた。クラブ幹部たちは、鎌田に対し「ラツィオへの愛を見せろ」と叱り飛ばしていたが、サポーターから、「ラツィオへの愛を見せろ」と同じ言葉をもらうことになるとは、なんとも皮肉なことだ。

(文:佐藤徳和)

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【了】

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