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Jリーグ 5か月前

「五輪だけじゃない」海外挑戦から1年、田中聡が湘南ベルマーレで追い求めるボランチ像「悔しい思いをしていたので」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「狙ったわけじゃなく…」衝撃的なゴールの真相は…


 ボールを左へちょっともち出しながら、今度は利き足の左足を迷わずに振り抜く。慌てて間合いを詰めてきた橘田も間に合わない。無回転で飛んでいった強烈な一撃はゴールに近づくにつれて外側に逃げる軌道を描きながら、必死にダイブした川崎の守護神チョン・ソンリョンの右手の先をかすめてゴール左に突き刺さった。

 距離にして約26メートルの衝撃的なミドルシュート。本人が「多分、誰かにあたって、いいコースに飛んでくれたと思う」と謙遜したように、ブロックに飛び込んできた橘田の足をわずかにかすめていた一撃を、田中は「何か狙ったら入りました」と振り返り、そして慌てて前言を修正した。

「狙ったわけじゃなくて、思い切り振り切ったらあのコースに飛んでいって入った、という感じです。ファーに味方の誰かが走っているのが見えましたけど、とにかく振り切ろうと。シュートを打った瞬間に『あっ、(左足の)いいところに当たった』という感触もあったし、入ってよかったです」

 ファーへ詰めていったアカデミー出身のルーキー、18歳のFW石井久継が両手を敵地の夜空に突き上げながら、美しい軌道に見惚れるように「本当にすごかった」と声を弾ませた同点弾。しかし、田中自身は「まだ同点だったし、勝ちたかったので」とゴールした直後はあまり喜びを表さなかった。

 しかし、配信されていた映像はゴールからしばらくして、右手の拳を握りしめながら雄叫びをあげる田中の映像を抜き取っていた。それを問われた田中は、ちょっぴり照れながら再び前言を撤回している。

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