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Jリーグ 8か月前

「僕の目標はずっと変わらない」谷晃生がFC町田ゼルビアで信じる道。「選手は半年でも大きく変わる」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「本当に助かりました」「あっぱれです。さすがは日本代表」


「でも、やはりゴールポストが近くにあるとボールを弾く場所であるとか、ボールを弾く方向といったものも難しくなる。自分もゴールのなかに倒れていて、ボールを残すのが精いっぱいの状態だったので」

 谷の右手に触れたボールはゴールポストにも当たって、ゴールライン近くで弾んでいた。福岡のDF田代雅也が、その後方からはドウグラス・グローリとFW佐藤凌我が目の色を変えて突っ込んでくる。さらに続いた絶体絶命のピンチは、福岡の3人より一瞬早くカバーに戻ったMF仙頭啓矢が防いでくれた。

「こぼれ球に真っ先に仙頭選手がきてくれたので、あの場面では本当に助かりました」

左サイドへクリアした仙頭に谷が感謝すれば、2020シーズンに1年間だけプレーした町田への恩返しとなるゴールを逃した小田は、柏戦の情報をもとに自身の動きを完璧に読み切った谷のセーブに脱帽した。

「よく止めたと思います。あっぱれです。さすがは日本代表ですね」

 今月を迎えるまで、谷の肩書きは「日本代表」ではなく「元日本代表」だった。ミャンマー、シリア両代表戦に臨んだ6月シリーズで、第2次森保ジャパンが船出した昨年3月以来となる代表復帰を果たした。

ウルグアイ代表と引き分け、コンロビア代表には敗れた昨年3月シリーズのゴールマウスを守ったのはシュミット・ダニエル。そして、大迫敬介とともにベンチで戦況を見つめた谷の所属はガンバ大阪だった。

 2020シーズンから3年間にわたって湘南ベルマーレへ期限付き移籍。J1リーグ戦で計90試合に出場し、その間の2021年夏に開催された東京五輪で守護神を拝命し、初招集された日本代表ではFIFAワールドカップ2022・アジア最終予選にも帯同。満を持してジュニアユースから所属したガンバへ復帰した。

 しかし、自身が先発した10試合で1勝3分6敗、21失点の結果を残したまま、ガンバでの再挑戦は途切れている。ベテランの東口順昭にポジションを奪い返され、リザーブに回っていた昨年8月。ベルギー2部のFCVデンデルEHへの期限付き移籍が発表された。谷はガンバを通じて、次のようなコメントを発表している。

「期限付き移籍という形ではありますが、向こうでしっかりと長くできるように、ステップアップしていけるように、まずは1年しっかりと死に物狂いでやってきたいと思います」

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