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明治安田J1リーグ第19節、FC町田ゼルビア対アビスパ福岡が22日に町田GIONスタジアムで行われ、0-0の引き分けに終わった。首位でリーグ戦を折り返した町田の守護神・谷晃生は、「ずっと変わらない」目標に向かって、自分が決めた道を信じて歩みを進める。(取材・文:藤江直人)
入念な事前準備がチームの失点の危機を救う
必然に導かれた守護神のビッグセーブが、FC町田ゼルビアが先制される危機を救った。
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両チームともに無得点で迎えた38分に、アビスパ福岡が獲得した3本目のCK。町田のゴールキーパー、谷晃生は右サイドでボールをセットする福岡のキッカー、MF前寛之の一挙手一投足を注視していた。
谷はこのとき、真ん中からやや後方、ファーポスト寄りにポジションを取っていた。ファーの後方でお互いの距離を近くとっていた長身トリオ、189cmのDFドウグラス・グローリ、186cmのDF宮大樹とFWウェリントンの誰かが突っ込んでくる展開を警戒しつつ、前が蹴るボールの軌道を見極めていた。
次の瞬間、前はアウトスイングから福岡の選手が誰もないニアへ、鋭く曲がるボールを供給した。ボールに合わせて素早くステップを踏み、中央をへてニア寄りにポジションを修正した谷が振り返る。
「相手がニアに入ってくる動きは情報のなかに入っていたし、チーム全員で共有していました。実際にその形から点を取った場面もあったので、ボールがニアにきた瞬間にいいポジションを取れたと思います」
それまで中央にいたDF小田逸稀が、MF平河悠のマンマークを振り切ってニアに突っ込んできた。小田の身長は173cm。それでも今月2日の柏レイソル戦で、右サイドから前が放った低く、速い直接FKに対してニアへ突っ込み、バックヘッドからボールをすらして今シーズン初ゴールを決めていた。
柏戦を再現させてなるものかと、ニアでストーン役を務めていたMF下田北斗がボールを弾き飛ばそうとジャンプするも届かない。宙を舞いながら完璧なタイミングで、頭でボールをヒットした小田が言う。
「狙い通りでしっかりと叩きつけて、いいヘディングで『決まった』と思ったんですけど…」
ニアポスト付近を急襲したシュートに、谷がダイブしながら反応した。自らの体はゴールのなかへ。それでも必死に伸ばした右手をわずかに触れさせてゴールインを阻止する。ウェリントンらが両手を突き上げてゴールを喜ぼうとしたほどの微妙なシーン。ただ、ピンチはこれで終わったわけではなかった。
目の前のボールポストが怖くなかったのか。こう問われた谷は「特には」と否定しながら言葉を紡いだ。