武田英寿は「1番うまい」。同僚が口を揃えて称賛する武器とは
西川は「後ろがしっかりしてボールを回収できて、そこから攻撃ができたと思います。サイドの裏のスペースを狙っていた部分もあったので、1点目もそこから素晴らしいボールが出て決め切れたことはチームとして修正できたこと」と力を込めた。
そして終盤の90+2分、浦和は武田が左サイドからのフリーキックで直接、ゴールを狙う。通常であればクロスを送る位置でもあったことで相手キーパーの意表を突く。背番号47は大きく助走を取り左足を振り上げニアを狙うとゴール手前でワンバウンドさせゴールネットを揺らした。
チームを敗戦から救った武田は、次のような言葉を残した。
「自信はありました。決められると思いましたが、あとはキーパーがどれだけクロスを狙っているかとか、そこは強いボールを蹴ろうと思ったので、駆け引きというか、最後まで見ることはせずに、決めたらラッキー、読まれたら最悪という考えで狙いました」
開幕してからも中々、メンバー入りもできず、紅白戦にも入ることができない日々もあった。苦しい時期を過ごしていたプロ5年目の武田は巡ってきたチャンスをモノにし、この試合で2得点をマーク。前節のセレッソ大阪では初アシストを残したが、この日のゴールは特別なものになったはずだ。
試合後のミックスゾーンで多くのメディアに囲まれる武田を横目に見ながら西川は「浦和の中では、彼が一番シュートが上手いと思っていて、キーパーチームの全員が口を揃えて武田だと言っています」と話す。そして「(自主トレ時には)彼のシュートを止めるのが本当に難しい。ペナ外からのシュートは彼の良さで素晴らしい。何と言っても、今日、自分で決めたことが素晴らしいこと」と、若武者の活躍を褒め称えた。
これでチームは、今シーズンの前半戦を7勝5分7敗で折り返した。若武者の台頭がチームの起爆剤になるのか。負けられない戦いが続く、浦和の後半戦に注目したい。
(取材・文:石田達也)