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Jリーグ 1週間前

「それじゃダメ」鹿島アントラーズの“弱さ”を植田直通が指摘。なぜ勝てなかったのか「それができてこそ強くなる」【コラム】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「去年と違うのは…」「それじゃダメだと思う」



 そして迎えた今季。昌子が町田へ移籍し、センターバック(CB)が自分と関川郁万、若手の津久井佳祐の3人しかいないという変則的陣容になったことで、植田の自覚は一段と強まった。実際、前半戦はほぼ出ずっぱり。累積警告やケガは絶対に許されない状況の中、ここまでフル稼働し続けてきた。

 そのうえで、高いパフォーマンスを発揮し、自らも3得点を挙げているのは称賛されるべきこと。だが、総失点数は22と、昨季の19試合終了時点の18より多くなってしまっている。総得点が同24から33へと大幅に増えているからこそ、「自分が守り切れていれば…」という不完全燃焼感が色濃く残っているのだろう。

「去年と違うのは得点力の部分。点が取れているのは前に枚数をかけいてるからでもある。去年なんかは『後ろに引いて守って無失点』っていうのはすごく多かったですけど、それじゃダメだと僕は思う。枚数かけながら攻めつつ、無失点で終える試合をもっと増やさないといけない。それができるようになってこそ、このチームは強くなるかなと僕は思うんです。

 今の課題は無失点にすること。自分がその責任を感じながらやらなきゃいけない。なんだかんだ言って自分次第かなと。自分が全部止めればいいと思うし、統率できれば止められる。まあ自分の力不足ですね」と彼は自らを鼓舞するように語ったのだ。

 攻撃リーダーの鈴木優磨も「浦和戦の後半は『ペナの前で守ればいいや』という考えになって、後ろに重たくなっていた」と指摘する。「それが鹿島の伝統でありつつも、やっぱりもっともっと前から行って、ハイラインを引くこともできるようにならないといけない」とも提言していた。

 そのラインコントロールを的確にやっていくのは、まさに植田の役目。後ろに引き込んで跳ね返すだけでは、ヴェルディ戦や浦和戦のような展開が再び起きないとも限らない。6月26日のガンバ大阪戦から始まる後半戦では同じ過ちを絶対に繰り返してはいけないのだ。

 植田は後半戦に闘志を燃やしている。

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