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Jリーグ 1週間前

「それじゃダメ」鹿島アントラーズの“弱さ”を植田直通が指摘。なぜ勝てなかったのか「それができてこそ強くなる」【コラム】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

しかし…。鹿島アントラーズが見せた「弱さ」



 しかしながら、後半に入って浦和が4-3-3から4-2-3-1に布陣変更し、より縦への意識を強めてくると、鹿島は守勢を強いられる。それでも何とか跳ね返し続けていたが、77分に伊藤敦樹にディフェンスラインの裏を取られ、そこからマイナスクロスを途中出場の武田英寿が押し込まれてしまったのだ。

 さらに後半アディショナルタイムには、その武田に意表を突かれる形でFKを決められ、2-2のドロー。勝ち点3が見えていながら、2ポイントを失うという悔しい結末を余儀なくされたのだ。

「今のチームの弱さを見せてしまったかなと。リードしている展開で、無失点で終えられるのがいい時のチーム。それができなかったことにはすごく責任を感じてます」

 守備の要・植田直通は苦渋の表情を浮かべた。2-0から2-2にされるというのは、鹿島のDFとして「あってはいけないこと」。そう感じているから悔恨の念を口にしたのだ。

 確かに常勝軍団の伝統は「1-0でしぶとく勝ち切る」という戦い方だ。かつて秋田豊、大岩剛、中田浩二、岩政大樹、昌子源と、日本屈指のDFが最終ラインに陣取っていたどの時代も、鉄壁のディフェンスで敵を跳ね返し1点を守り続けてきた。2013年に加入した植田も鹿島らしさを肌で感じ、それを実践しなければいけないと胸に刻んできたはずだ。

 2018年夏にセルクル・ブルージュへ赴き、ニームを経て、昨年頭に古巣復帰してからはなおさら「伝統を守るのは自分」という意識を強めたはず。同じタイミングで戻ってきた昌子が途中から試合に出られなくなったこともあり、責任感の強い男は「自分が全部守って無失点の戦いをしなければいけない」と自らを鼓舞し続けたに違いない。

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