フランス代表の攻撃の特長
「ゴール前での効率を欠いたが、今夜のチームのパフォーマンスには満足している」。
フランス代表のディディエ・デシャン監督がオランダ代表との試合後の会見で語ったこの言葉にすべてが詰まっている。
フランス代表はオーストリア代表戦、オランダ代表戦といずれの試合でも自分たちが意図した形でチャンスを作れている。それも自分たちの強みを生かした「ユニットでの崩し」と「相手の守備の出方を見た上での崩し」の2パターンがあり、相手からすると対策がしづらい形で攻撃を仕掛けることができている。
それでもオウンゴールのみの1ゴールに留まっているのは、シンプルにフィニッシュの部分に精彩を欠いているからで、初戦はキリアン・エンバペ、2戦目はアントワーヌ・グリーズマンがビッグチャンスを外した。ミスしたうちの半分でも決まっていれば印象は大きく変わるだろう。
さて、話をオランダ代表との試合にフォーカスすると、フランス代表の攻撃陣は相手の絶対的なディフェンスリーダーであるフィルジル・ファン・ダイクに対してどのように攻撃的なアプローチを仕掛けるのかを考えながら攻めていた。
オランダ代表の守備陣はこのリバプール所属のCBにすべてが懸かっていると言ってよいほど、彼の個人能力に依存をしており、「ファン・ダイクが崩れる=チームの崩壊」を意味する。この試合でも彼の相方であるステファン・デ・フライはかなり苦戦。右SBのデンゼル・ドゥンフリースも攻撃寄りの選手と、かなり右サイドの守備が不安定だった。
こうした相手の特長に合わせて攻撃の形を工夫できるのがフランス代表の強みであり、今回はオランダ代表の最大の強みでありながら、いないと成立しないファン・ダイクをゴール前から遠ざけることに重きを置いていた。