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Jリーグ 1週間前

水沼宏太の助言、天野純の工夫、喜田拓也の声。横浜F・マリノスの逆転勝利、ピッチで何が起きていたのか【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

喜田拓也が悔しがったあのシーン


 敵陣左サイドの深い位置で、宮市が投じたスローインをFW植中朝日が返す。宮市はペナルティーエリアの左外にポジションを取っていた喜田にパスを預け、自身はそのまま縦のスペースを突いていった。

 喜田は広島のゲームキャプテン、DF塩谷司とまず対峙する。次の瞬間、ほぼノールックで宮市へ優しいパスを通す。虚を突かれたのは塩谷だけではない。宮市をケアするはずのMF越道草太も「ボールウオッチャーになってしまった」と悔やみ、気がついたときには宮市に背後を取られていた。

「宮市選手とも連携が取れていたし、必ずあの位置に走ってきてくれると思ってパスを出しました。宮市選手も試合後に『来ると思っていた』と言ってくれたし、そのあたりの意思疎通もできていた。最後はロペスも本当によく決めてくれた。ゴールなりアシストなりができればいいんですけど、今日みたいな絡み方というか、試合の結果にも直結するようなプレーでチームを助けていきたいと思っているので」

 2-2とする同点弾の起点になったプレーに声を弾ませた喜田は、76分に惜しいシュートを放っていた。

 自陣から発動させたカウンター。ドリブルでボールを運んだ、FWヤン・マテウスが放ったシュートのこぼれ球をペナルティーエリア内の右側でロペスが収める。当然のように、広島はロペスのシュートを警戒する。DF中野就斗とMF新井直人が引きつけられた背後を、ノーマークで走り込んできたのが喜田だった。

 しかし、ロペスのパスにワンタッチで左足を合わせたシュートは、ゴールの右にはずれてしまった。マリノスひと筋でプレーするバンディエラに、昨年4月の名古屋グランパス戦以来となるリーグ戦通算4ゴール目かと思われたシーン。天を仰いで悔しがった喜田は「あれ、右足で蹴る用意をしていたんです」と苦笑する。

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