イタリア代表相手にハマったスペイン代表の強み
現在のスペイン代表は3-0の大勝を収めたクロアチア代表戦でも見られたように「トランジション」を重視したチームだ。高い位置から圧力のあるハイプレスで相手のビルドアップを制限し、奪ってからの速攻で一気にゴールを仕留めるのが狙いである。
イタリア代表との試合でも開始直後からトランジションを意識した入りとなり、両チームともに中盤でボールを落ち着かせることなくカウンターの応酬となった。
イタリア代表としてはスペイン代表の速いペースに付き合ってしまったのが試合を難しくさせた要因だろう。前半の早い時間帯でかなり消耗しており、最終ラインこそボールを保持できた時間もあったが、中盤より前でなかなかボールが繋がらず、スペイン代表のプレスの餌食となった。
このような展開となれば前線で起点となれるアルバロ・モラタに加えて、ニコ・ウィリアムズ、ラミン・ヤマルという単騎で攻撃を完結できるウインガーがいるスペイン代表の方が俄然優位となる。
中でも脅威となったのが左ウイングで先発出場したニコ・ウィリアムズだ。イタリア代表の右SBジョバンニ・ディ・ロレンツォを1対1で終始圧倒し、彼のいるサイドから多くのチャンスが生まれた。55分のオウンゴールのシーンもニコ・ウィリアムズがナポリ所属のDFをドリブルではがしてからのクロスが起点となっている。大会公式のマン・オブ・ザ・マッチにも輝いた。
そんな彼よりも存在感抜群だったのが左サイドバックのマルク・ククレジャである。彼が今大会のスペイン代表のキーマンと言ってよいだろう。