「あ、そうだったんですか。すみません」鈴木優磨と松橋力蔵監督の会話
「彼から話しかけてきてくれたんです。単純に、僕らに対してすごく賛辞を送ってくれました。ああやって、他のチームのところへ来て、素直にゲームに対する自分の気持ちを言ってくれるのって、ちょっとうれしい気持ちになるんですよ。敵とはいえ」。松橋監督にとっては、思いがけないことだった。
打ち解けたところで、些細な誤解も解いた。56分、鹿島陣内でボールを取り返そうとした奥村仁が、鈴木優磨をファウルで止めた場面のことだ。「僕は、仁に向かって『ファウルで止めるな』と言ったんです。敵陣でファウルして止めてしまうと、ほかの選手が次でボールを取れるチャンスを失ってしまうので」。それを自分に言われたと誤解した鈴木に、何か言い返されていた場面があった。「『あのとき、うちの選手に言ったんだけど、(鈴木に)怒られちゃったからさ』と。そうしたら『あ、そうだったんですか。すみません』って。そんな会話をしました」。
そのあと、関川郁万も握手を求めにやってきた。松橋監督は千葉県立市原緑高校で、関川は流通経済大付属柏高校で、同じ本田裕一郎監督に師事したご縁から、あいさつに来てくれたという。
また試合中、松橋監督が鈴木優磨に新潟のウォーターボトルを手渡していた場面は、SNSでも話題となっていた。このことについて別の記者に尋ねられると「別に彼だけじゃなくて、敵のチームでも渡します。非常に暑いですし、連戦ですし、きれいごとに聞こえるかもしれないですけど、彼らのパフォーマンスを引き出す上でも大事な水だと思うんですよね。(パフォーマンスを)落とさせるために水をあげないとか、そういうことは、僕自身はしたくない。逆にそういうことをするのは、自分たちを信じていないということにも繋がるのかなと」。
さまざまな場面で、お互いサッカー人としてリスペクトし合う姿勢が垣間見えた一戦となった。
(取材・文:野本桂子)
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