フットボールチャンネル

海外サッカー 2週間前

なぜ岡崎慎司は欧州で指導者の道を歩むのか? 「その悔しさは自分しか知らない」。新たな挑戦の最終目標とは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「選手と指導者は違う」引退後早速ぶつかった指導者の壁


 指導者になる第一歩となったイギリスでのライセンス講習会でも、岡崎は「実は早くも大きな壁にぶつかっているんですけど…」と再び屈託なく笑った。10日間の講習会で何が起こっていたのか。

「自分が英語を勉強し直しているのもすごく不思議ですけど、やはり選手と指導者は違うし、特に自分は感覚で生きてきた選手なので、それらを一から言葉で説明できるようにしなきゃいけない。なかなかしんどい時間ではあったけど、いろいろなものを吸収していく今後に対してはすごくわくわくしている。反骨精神をもって生きていくという意味では、壁にぶつかったのはまずまずのスタートだと思っている」

 最上位ライセンスのUEFAプロを、簡単に取得できるとも考えていない。岡崎自身も「5年、10年とかかっても」と地道に取り組んでいく覚悟を決めている。その意味でも10年前にともにバサラ・マインツの創設に関わり、いまではアカデミー組織も整った規模へ発展させてくれた滝川第二高の先輩への感謝を忘れない。

「すぐに自分が勝負できる、挑戦できる舞台があるのは、本当に仲間のおかげですね。バサラ・マインツがあるからこそ、サッカー選手をやめる決断をすぐに下せたといまでは思っている」

 岡崎よりひと足早く都内で引退会見を実施したMF長谷部誠は、ドイツを拠点に指導者の道を歩む意義を「大前提として、日本サッカーのためにこの道を進もう、という考え方をしたわけではない」と語った。将来的にお互いの道が交わるときが訪れ、日本へ還元できるものがあれば喜んで、というスタンスだ。

 対照的に岡崎は、壮大な夢を堂々と語っている。それは日本代表を率いる自分の姿にほかならない。

「自分の挑戦の最終的な目標はそこですね。選手としてワールドカップ優勝を達成できなかったので、指導者として目指すところは日本代表の監督になって、ワールドカップで優勝するのがメインになります」

 座右の銘として「一生、ダイビングヘッド」を実践してきた、記録にも記憶にも残る異能のストライカーはその生き様に「生涯、挑戦」も掲げながら、新シーズンを控えた8月にバサラ・マインツに合流する。

(取材・文:藤江直人)

【関連記事】
最も稼いでいるのは? 欧州日本人、年俸ランキング1〜10位
大低迷…。欧州でまったく輝けなかった日本人選手10人
なぜ転落…。 日本の「消えた天才」サッカー選手10人

【了】

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!