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Jリーグ 2週間前

「学ばなければなりません」ジルさんが考える「良いGKの基準」60歳のイタリア人指導者が進めるサガン鳥栖の育成プロジェクト

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

名伯楽が感じる変化「サッカーは変わりましたね」


――変化という意味では、GKに求められる役割も変わっています。

「ヨーロッパではGKの大型化がこれからも進むと思います。インテルは背の高くないゾマーを正GKとしていますが、それはレアケースでしょう。大きなGKは敏捷性で劣るかもしれませんが、今後もGKの大型化の流れは続くはずです。それに加えて、GKからのビルドアップという流れも続くでしょう。ただ、そういう意味では、背の高さよりも足元の技術の高さを求めるGKコーチがいることも確かです。サッカーは変わりましたね」

――足元の技術もそうですね。鳥栖はGKも積極的にビルドアップにかかわることが求められます。

「もし後方からビルドアップしたいのであれば、当然GKも加わらなければなりません。ただ、相手チームはGKにプレッシャーをかけてきます。Jリーグの試合でも後方からのビルドアップの際にボールを奪われ失点するシーンはよくありますが、リスクはつきものです」

――そのリスクにどう対処するかが問われますね。

「GKがボールを保持する時間が長くなれば、相手チームに陣形を整える時間を与えてしまいます。そうすると相手はプレス強度を高めることができるので、その分ボールを保持しているチームはミスをする可能性は高くなります。正直なところ、GKは何よりもまず失点を防ぐことを考えなければなりません。そのため、ゴールからできるだけ遠ざけて、ボールを奪われるリスクを減らすべきだと私は考えています」

――ミスを減らすためには、できるだけ早く判断する必要がありますね。

「優れたGKであればリスクのある状況でも、『ダイレクトで蹴るべきか、ワンタッチしてから蹴るべきか』という判断に長けています。ボールを受ける前に、『どのタイミングで、どこにボールを蹴らなければならないか』ということを常に考えておかなければなりません」

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