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海外サッカー 5か月前

フランス代表はなぜ苦戦を強いられたのか。“教授”ラングニックが植え付けるオーストリアの脅威【ユーロ2024分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

優勝候補フランス代表が苦戦した理由

ラルフ・ラングニック
【写真:Getty Images】


 前述したように、オーストリア代表がエネルギッシュなパフォーマンスが可能なのは選手の多くが「レッドブル・グループ」に属していることが大きい。レッドブル・ザルツブルクやRBライプツィヒといった、指揮官がこれまで戦術を指導してきたクラブに在籍経験のある選手が揃っており、彼らを軸にして(代表チームとは思えない)クラブチームのような組織力・連動性を誇っている。

 特に中心選手としてチームを引っ張るのが、コンラート・ライマーとマルセル・ザビッツァーだ。中盤の選手である彼らは攻撃時には中央の高い位置でチャンスメイクを狙っているが、守備時は[4-4-2]のサイドハーフとして内側のパスコースを消す役割に徹する。

 これがフランスを苦しめた要因だ。

 どのポジションもワールドクラスの選手を揃えているとは言え、フランス代表の最大の強みはサイドの攻撃力。先発のウスマン・デンベレ(右)、マルクス・テュラム(左)だけでなく、控えのメンバーにもキングスレイ・コマンやランダル・コロ・ムアニなどが名を連ねている。最前線のエムバペもサイドに流れてプレーするのが得意な選手だ。

 レ・ブルー自慢のサイド攻撃の脅威をできる限り少なくするために、「プロフェッサー(教授)」こと、ラングニック監督はライマーとザビッツァーの立ち位置を工夫した。

 攻撃時に2選手が中央でパスワークに絡むことで、フランス代表の4バックは警戒を強めてコンパクトな陣形に。これによりボールの逆サイドには大きなスペースが生まれ、そこにオーストリア代表のサイドバックが果敢に侵入した。

 相手SBに合わせて、デンベレとテュラムも自陣ペナルティーエリア付近まで帰陣。彼らはポジティブトランジションの際にやや低い位置からスタートして攻撃参加することになり、結果的にオーストリア代表はフランス代表のカウンターの数と精度を下げることに成功している。

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