「クレームをつけられるようなサッカーだと思っている選手は一人もいない」
マリノス戦後の公式会見。天皇杯から限られた時間のなかで、一敗地にまみれたチームを立て直したマネジメント術を問われた黒田監督が返した言葉が再び大きな反発を招いている。
「天皇杯でいろいろありましたけど、町田ゼルビアは決して悪ではない。われわれが正義であり、言いたいことをしっかり言いながら、ダメなものはダメと訴えながら貫いていく。これがいまの日本のサッカー界に必要なパワーだと思う。町田のサッカーをネガティブにとらえている選手も、クレームをつけられるようなサッカーだと思っている選手も一人もいない。われわれが勝つために思考してきたサッカーを信じて、絶対に必要だと全員が理解している。このベクトルがしっかり合っているのが、勝利の要因になっている」
指揮官が言及した「正義」の二文字が、とりわけ批判の対象になった。しかし、逆風が収まらない状況でも、選手たちは地に足をつけて戦っている。マリノス戦後のあいさつではバイロンがデュークの、GK福井光輝がチャン・ミンギュの、DF池田樹雷人が安井の、そして平河がナ・サンホのユニフォームをまとい、敵地のゴール裏に陣取ったファン・サポーターに挨拶した。藤尾は決意を新たにしている。
「連敗しなければ首位をキープできるし、周りのチームとの勝ち点差も離れていくと思う」
藤尾の言葉通り16日には、第17節を終えた時点で町田と勝ち点で並んでいた鹿島アントラーズが新潟と引き分けた。これで首位・町田と2位・鹿島の勝ち点差は2ポイントに開いた。ホームの町田GIONスタジアムにアビスパ福岡を迎える22日の第19節で勝利した瞬間に、町田の首位ターンが決まる。
(取材・文:藤江直人)