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Jリーグ 3週間前

「ここでいかなかったらオレたちじゃない」FC町田ゼルビアを立て直した昌子源の言葉「積み重ねてきたサッカーを…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

昌子源が労った2人の活躍「本当に頼もしいですよね」




 キャプテンの檄はチームメイトたちにしっかりと伝わっていた。たとえばU-23日本代表のアメリカ遠征から13日の午後に帰国し、マリノス戦前日の14日に町田へ合流した平河とFW藤尾翔太。ともに先発に名を連ねた2人の状態を、昌子は「しんどかったと思いますよ、絶対に」と慮った。

「僕のゴールは悠(平河)のアシストとなるのかな、というのはあるけど、それでも悠は前半からドリブルで何度も左サイドを突破してチャンスをつくっていた。藤尾に関しては、特に押し込まれる展開になった前半は守備で何度も戻っていたし、後半にはチームを救う2点目を決めてくれた。本当に頼もしいですよね」

 逆転ゴールが決まったのは57分。敵陣の中央で藤尾が態勢を崩しながら、DF上島拓巳に突っかけてスイッチを入れる。こぼれ球を拾った平河が、間髪入れずにペナルティーエリア内の右にいたMFバスケス・バイロンへスルーパス。利き足の左足で、バイロンがボールを落ち着かせた直後だった。

 バイロンは左足のアウトサイドで、マリノス守備陣の意表を突く、低く速いクロスをゴール前へ入れる。一人だけ反応していたのは、上島との接触後にすぐに起き上がってゴール正面へ詰めてきていた藤尾。スライディングしながら左足をヒットさせて突き刺した今シーズン7ゴール目をこう振り返った。

「バイロンにボールがわたったときに、ゴールと相手の位置を確認して、どんなタイミングでボールがきてもゴールを決められるように準備をしていた。そこへいいタイミングでパスを出してくれました」

 現地時間11日(日本時間12日)のU-23アメリカ代表との国際親善試合が終わった後に、町田のマネージャーからのラインを介して、黒田監督からのマリノス戦へ向けたメッセージが届いた。

「帰りの飛行機のなかでの過ごし方で、時差をしっかりと攻略できるように準備をしてきてほしい」

 アメリカ戦が行われたカンザスシティからシカゴを経由し、飛行時間だけで13時間を超えた帰路。藤尾と平河はあえて日本時間に合わせて就寝するなど、日本と14時間もある時差の解消に努め、町田に合流したときの表情を見た黒田監督は2人の先発起用を決めた。それでも「きつかったですね」と藤尾は言う。

「できる限りの対策はしてきましたけど、一度スプリントを入れてから連続した動きをすると息が上がる、といった場面もあった。あまり怪我をした経験がないのでよくわからないけど、それでもシンプルに筋肉系にも怖さを感じながらプレーしていた。金明輝コーチからは『90分間いく、くらいの気持ちでプレーしてほしい』と言われていたし、連敗だけは絶対にできない、という強い思いでプレーしていました」

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