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Jリーグ 3週間前

「ここでいかなかったらオレたちじゃない」FC町田ゼルビアを立て直した昌子源の言葉「積み重ねてきたサッカーを…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

天皇杯でのまさかのジャイアントキリング




「マリノスを相手に、苦しめられるシーンは多々あると思っていた。でも、そうした苦しさは、天皇杯で怪我をしてしまった4人に比べれば何てことのない苦しさだと思うので。好きなサッカーができない4人の苦しみや思いを背負って、しっかり勝とうと試合前にチームメイトにも言いました」

 ターンオーバー制のもとで昌子がベンチ外だった12日の筑波大学との天皇杯2回戦。町田にとって大会初戦となる一戦は1点をリードして迎えた後半アディショナルタイムに追いつかれ、延長戦でもともにゴールを奪えず、もつれ込んだPK戦を2−4で落とす歴史的なジャイアントキリングを食らっていた。

 しかも、120分の間に4人もの負傷者を出してしまう。前半に交代を余儀なくされたDFチャン・ミンギュと先制点を決めたMF安井拓也は、一夜明けて左鎖骨と右脛骨骨幹部の骨折と診断された。

さらに後半途中から投入されたFWナ・サンホは左足関節靭帯損傷、前距腓靭帯損傷、三角靭帯損傷と複数の怪我を負ってプレーが不可能となる。交代枠を使い切った後に負傷し、120分間プレーせざるをえなかったオーストラリア代表のFWミッチェル・デュークも左大腿二頭筋の肉離れと診断された。

 敗退後に臨んだ公式会見。黒田剛監督は「批判されるのを覚悟で言わせてもらいます」と前置きした上で、相手のプレーマナーに対して「勝ち負け以前にサッカーにおいて怪我人を出すプレーに対して、選手生命を脅かすかどうかという点も含めて、しっかりと指導してほしい」と筑波大の小井土正亮監督へ苦言を呈した。

 さらに大学生の態度に対しても、黒田監督は「大人に向かって配慮が欠けるようなタメ口や乱暴な言葉であるとか、非常にマナーが悪いというか、指導や教育もできていないような一面も見られた」と言及した。指揮官が発した言葉の数々はSNS上で瞬く間に拡散され、批判が殺到する状況を招いた。

 一夜明けてもSNS上で炎上していた状況を、もちろん選手たちも把握している。昌子は「この問題については正直、僕たちはノータッチというか、なかなか言えないところがある」と言及した上でこう続けた。

「ただ、僕たちは怪我をしてしまった彼らの分も背負って戦わなければいけない。できるだけ良い順位で彼らが戻ってくるのを待ちたいけど、背負うのが今日の試合だけでも意味がない。彼らが戻ってくるまで、そして戻ってきてからもプラスアルファになってもらえるように戦っていこうと、試合前の円陣で言いました」

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