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明治安田J1リーグ第18節、横浜F・マリノス対FC町田ゼルビアが6月15日に日産スタジアムで行われ、3−1で町田が勝利した。直近の天皇杯で4名の負傷者を出し、公式戦4戦でわずか1勝という状況で迎えたゲームは、先制される苦しい展開に。それでも、苦しい状況から3点を奪って逆転勝利を収めている。(取材・文:藤江直人)
当たり損ねに見せかけた計算通りのシュート
当たり損ねのように映ったシュートには、実は緻密な計算がほどこされていた。FC町田ゼルビアのキャプテン、DF昌子源が「あれ、狙っていました。いろいろと考えながら」と会心の笑顔を浮かべた。
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「自分のところにうまくボールがこぼれてきたんですけど、そのときにポープ(・ウィリアム)選手の姿が自分からはちょっと見えなくて。でも、ゴールキーパーは絶対にこうしてくるじゃないですか」
横浜F・マリノスのホーム、日産スタジアムに乗り込んだ15日のJ1リーグ第18節。マリノスのゴール前でこぼれ球を押し込んで1−1の同点とした43分のゴールを、ゴールキーパーが至近距離からのシュートをセーブする際に見せる動きを再現するように、昌子は両手を広げながら詳しく説明した。
「なので、普通にミートを重視する形で打ったら多分、ポープ選手に当たるかなと思って。とっさの判断で、どちらかというとちょっと下を狙って、バウンドさせてシュートを打ちました」
マリノス陣内の右タッチライン際で獲得した直接フリーキック。左利きのMF下田北斗がインスイングのクロスを供給する。最初に反応したのはU-23日本代表のMF平河悠。ニアで右足を合わせてボレーを狙うもうまくヒットできない。ボールは平河の左足にあたって相手ゴール前ではずんだ。
次に反応したのが昌子だった。ゴール中央からニアへ、一直線にボールを追いかける。必然的に自身の左側にいるマリノスの守護神、ポープの姿は死角に入る。そのポープは昌子の予想通りに両手を広げ、身長192cm体重89kgの巨躯を低く沈めてシュートコースを消しにきていた。
だからこそ、昌子が利かせた機転が奏功した。意図的に低いコースを狙った弾道はポープが広げた左腕の下、脇腹のあたりの空間を射抜き、ワンバウンドしながらゴールの左隅へ吸い込まれていった。
「先に失点して、少しまずいなと個人的には思っていました。なので、あの時間帯に追いつけたのは、チームが息を吹き返すにはもってこいでした。自分のゴールでしたけど、あれは大きかったですね」
自身が出場した公式戦では、9日のセレッソ大阪とのYBCルヴァンカップ・プレーオフラウンド第2戦に続く連続ゴール。それまで実に5年半もゴールと無縁だった昌子の弾むような声のトーンは、しかし、マリノス戦を迎えるまでの過程や試合自体がもつ意味を問われると、ちょっぴり神妙なそれに変わった。