今のスペイン代表の強み
世間的には「スペイン代表=ポゼッション」というイメージが強いだろう。2008年、2012年とユーロの連覇を成し遂げた頃は70%前後のポゼッション率を記録するのが当たり前で、流れるような美しいパスワークから多くのゴールを決めていた。
しかし、このポゼッションサッカーのアンサーとして世界的に守備戦術が整備されると、スペイン代表は国際舞台で苦戦するように。クラブレベルでもユルゲン・クロップ監督がプレミアリーグに持ち込んだ「ゲーゲンプレス」によって「強度」がチームのベースとなり、「攻撃」→「攻守への切り替え」→「守備」→「守から攻への切り替え」という「4局面」の整備が必要となった。
この時代によるトレンドの変化とともに、スペイン代表も戦い方のスタイルを変えている。
話をこの試合に戻すと、ポゼッション率でスペイン代表はクロアチア代表を下回る47%に留まった。こうした現象はかつてのラ・ロハではあり得なかったが、それでも試合に勝利している。このスタッツこそ、スペイン代表のスタイルが変わった証拠だ。
では、今のスペイン代表は何が”強み”なのか。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督のチームが、試合を通してクロアチア代表を上回っていたのが「トランジション(切り替え)」の部分である。
29分のアルバロ・モラタのゴールシーンがその代表例だ。マルク・ククレジャが競り合いの末にこぼれたボールを拾うと、ロドリ、ファビアン・ルイスへと繋がり、最後はスルーパスに抜け出したエースが1対1を決めきった。
このゴールの前にも2つシュートシーンがあったのだが、いずれもボールを奪ってからの速攻であり、マイボールにしてから8秒以内にフィニッシュに持ち込んでいた。前線からの強度の高いハイプレスに加えて、予測能力に優れたロドリが中盤の底にいることで、セカンドボールを拾ってからのショートカウンターが大いに機能していた。