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【英国人の視点】VARは必要なのか? 「問題は審判ではなく文化」プレミアリーグで起きた廃止の声へ抱く違和感の正体

シリーズ:コラム text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

「本当にサッカー界に求められているのか」

 間違った判定に苛立つのは当然のことだ。競技スポーツでは感情が高ぶるし、誰もが勝ちたい。しかし、選手、コーチ、オーナーが自らの失敗の責任を回避しようとし、笛を吹く者たちに責任を押し付けようとするため、不満はますます不快な様相を呈し、ファンがそれに便乗してソーシャルメディアでさらに火に油を注ぐことになる。

 スポーツの部族的性質はこれまでもこれからも、人々が偏った視点から試合や試合を構成する無数の事象を目撃する結果となるが、審判の誤った判定と思われるものに対する不満は抑制する必要がある。

 サッカーの試合の勝敗はさまざまな理由で決まるが、審判のミスは確かにそうした要因の1つになり得る。ただ、それ自体が、すでに起こりそうになかった結果を直接生み出すことは極めてまれである。

「いくつかの誤った、あるいは物議を醸す判定がなかったら、我々はさらに順位を上げていただろう」と、ウルブスのジェフ・シー会長は、4月6日のウェストハム・ユナイテッドとのホーム戦で1対2で敗れた後に大げさな声明を出した。この試合は、彼らが不当な扱いを受けたと考えた試合の1つである。

「ゴールが決まり、両チームの選手、コーチ、ファン、さらには審判自身を含め、スタジアム内でそのゴールの妥当性に疑問を抱く人が1人もいない場合、そのゴールを認めないことが本当にサッカー界に求められているのか、あるいは必要なのかを疑問視すべき時である」

「プレミアリーグとプロ審判協会(PGMOL)が、これらの懸念に対処することの重要性を認識し、競技の公正性を維持し、プレミアリーグが世界最高とみなされる理由を示すことを心から願っている」

 シー氏の声明に対して、ほぼすべての側面から異論を唱えることができる。

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