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日本代表 5か月前

「個人的に言えば…」冨安健洋はサッカー日本代表の攻撃的3バックをどう見たのか。W杯へ「結局は選手が…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images,Shinya Tanaka

「前半の方がやりやすさは…」



「選手が入れ替わったなかで、選手の特徴的にも4バックに見えるとは思うけど、ビルドアップの部分での立ち位置的にいえば、4バックや3バックというのは相手を見た上で変えるのであって、実際に前半はうまくいっていた。なので『4バックだからといって、わざわざ大きく変える必要はないよね』と後ろでは話し合っていたし、立ち位置のところは相手を見ながら意識してやっている感じでした」

 2トップがプレスをかけてくるシリアに対して、前半は3バックの誰か一人が余りながらうまく対処できていた。一転して相手の2トップと日本の2人のセンターバックが数的同数になった後半を、冨安は「個人的に言えば、前半の方がやりやすさはあったかな」と振り返りながら、さらにこう続けた。

「後半は立ち位置のところで、ちょっと有効的ではなかったかなと思っている。相手のシステムに対して埋めるべきスペースがあって、それを全員が共有できているわけではないですし、そもそもこのチームでそれは求められてもいない。なので、そこは近い選手との関係で調整した感じですね」

 具体的には状況によって遠藤か、もしくは田中が最終ラインに下がる即興の3バックで対処する。前半は1本だったシリアのシュート数が後半は5本に増え、さらに73分にMF相馬勇紀がPKを決めて4点目を奪うまでは攻撃面でも停滞した感は否めなかったが、それでも最終的には5-0で試合を終えた。

 アジア2次予選を戦った全9グループ、計36チームのなかでオーストラリア代表とともに全6試合を、日本代表史上で初めてとなる無失点で通過した。対戦相手との力の差を考えればもちろん大喜びはできないが、それでも所属するアーセナルで欠場が続いていた関係で、北朝鮮代表との3月シリーズでは招集されなかった冨安が放つ大きな存在感が、風格すら漂わせるコメントからも伝わってくる。

 実際に森保ジャパンのなかにおける立ち位置も、すでに代役が効かない存在となっているのだろう。それを象徴していたのが62分だった。お役御免で交代した遠藤が、左腕に巻いていた赤いキャプテンマークを誰に託すのか。指名されたのは冨安であり、もちろん初めて担う大役だった。

 感想を問われた冨安は「いや、特には…」と苦笑いしながら、こんな言葉を紡いでいる。

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