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Jリーグ 4か月前

坪井慶介が「DFのいい準備」を言語化する。1対1の優先順位とは?「身体能力だけで勝てない」【元サッカー日本代表のDF論】

シリーズ:コラム text by 舞野隼大 photo by Getty Images

「ツボさん、仙人じゃないですか」


 準備が大事というのは、試合以外にも言えることですね。レノファ山口FCではコンディションを良くするためにも早くグラウンドに行ってストレッチをして、練習後もケアをしなければいけなかったので大体最後に帰っていました。後に来て先に帰る若手からは、「ツボさん、ここに住んでます? 仙人じゃないですか」ってイジられていました(笑)。当時は39、40歳の年で、肉体は年齢と共にどうしても衰えてしまいますが、そういった準備がプレーに繋がっていました。

 準備の大切さは解説者になった今でも同じです。自分が解説を担当するチームの過去3試合は見たいと思っているので、1試合を解説するために計6試合は見ています。第1節からのメンバーとシステムがどう変わったかを全部メモに記していて、そうするとなんとなく「この時にこの選手が変わっていて、この時に3バックになって、この時にこことここの組み合わせが変わっている」というのがわかってくるんです。

 でも、現役の時は自分の試合、対戦相手の試合もほとんど見ていませんでした。それには理由があって、事前情報を入れてしまうと、それが固定概念になって、その逆を突かれたときに対応できなくなってしまう。だから、見ていたのは編集されたスカウティングの映像だけ。仕舞いには「スカウティングの映像もいらないから、この選手は足が速いのか、遅いのか。右利きか左利きかだけ教えてくれ」と言ってました(苦笑)。

 試合をちゃんと見ておけば、右と左で相手の崩し方が違うとか、得意としている形や苦手な時間帯が前もってわかる。試合前の準備もちゃんとしていれば、トップ・トップの選手になれたんじゃないかなって思います。

(構成:舞野隼大)

プロフィール:坪井慶介(つぼい・けいすけ)


【写真:編集部】

1979年9月16日、東京生まれ。四日市中央工業高校、福岡大学を経て、2002年に浦和レッズに加入。ルーキーイヤーにリーグ戦30試合に出場し、新人王、フェアプレイ賞、ナビスコカップニューヒーロー賞を受賞し、翌年には日本代表、Jリーグベストイレブンに初選出される。06年にはFIFAワールドカップドイツ大会に出場するなど、日本代表として通算40試合に出場。15年から湘南ベルマーレ、18年からレノファ山口FCでプレーし、19年限りで現役引退。現在は日本代表、Jリーグ、プレミアリーグなどで解説者を務める傍ら、タレントとしてテレビなどのメディアにも多数出演している。

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【了】

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