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Jリーグ 4か月前

坪井慶介が「DFのいい準備」を言語化する。1対1の優先順位とは?「身体能力だけで勝てない」【元サッカー日本代表のDF論】

シリーズ:コラム text by 舞野隼大 photo by Getty Images

湘南ベルマーレで浦和レッズの経験が活きた


 湘南ベルマーレに移籍した時に、ディフェンダーとしてすごく視界が開けた感じがしました。歳を重ねて何個か先のプレーを読めるようになったことと、曺貴裁監督に3バックの中央を任されて「ここにボールがあって、ここにプレスをかけたら次はこことここにしかパスは出てこない」とか「ここを縦切りしたら、次は1タッチでこっちに出てくるから、ここの横パスを狙ってほしい」といった指示を出すようになりました。

 当時の湘南は積極的にプレスにいく反面、剥がされたときに大きなスペースが生まれてしまう。自分が井原さんのような立場になった時に「あ、なんでもプレスにいけばいいってもんじゃないな」とそこの難しさは感じました。今はゴールを守るべき時間なのか、奪いにいく守備なのかというメリハリをつける必要があると湘南でのプレーを通して感じました。

 若い時の方が目の前の相手をどう潰すかを考えることが多かったですけど、経験を積んでいくにつれて指示を出すことが増えました。 浦和で一緒にプレーした阿部勇樹や鈴木啓太はとても理解力がある選手なので、「阿部、右ななめ後ろ」とか「今は行かないで」、「(スペースを)埋めて」、「啓太ちょっと右」の一言でなんとなくわかってくれました。でも当時の湘南は若い選手が多く、明確に言わないといけないという状況でしたが、浦和での経験がすごく活きましたね。

 湘南で、一度のスローインで3人ぐらいの選手に「こっちを切って」、「お前はこっちを切って」、「お前はここを狙ってくれ」とパン、パン、パンって一気に言っていたら「ツボさん何個言うんですか」って言われたことがあります(笑)。

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