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Jリーグ 4か月前

坪井慶介が「DFのいい準備」を言語化する。1対1の優先順位とは?「身体能力だけで勝てない」【元サッカー日本代表のDF論】

シリーズ:コラム text by 舞野隼大 photo by Getty Images

W杯は「身体能力だけでは勝てない」。1対1に必要な優先順位とは


 2006年にワールドカップを戦った時は、「身体能力だけでは勝っていけない」と痛感しました。オーストラリア代表のFWマーク・ビドゥカは、190cm近くあった上に身体の使い方もうまくて間合いに入れませんでした。

 どうすればボールを奪いにいけるかを考えて、ちょっと離れてからトラップ際を狙ったり、その前段階でインターセプトを狙うとか、くっついておいて離れてからもう一度当たるといったことをしていました。あとは僕が右なのか左なのか、どちらから取りに来るかを読ませないようにしていました。

 空中戦で大きい選手のマークにつく時は「先に潰れるからカバーしてくれ」と事前に味方に言って、一緒に飛んで相手にも触らせないようにわざと被って後ろで処理するというのをよくやっていました。後ろから飛ぶと相手に乗ってしまってファウルになることが多いので、あとは横で飛ぶことも意識していました。

 1対1で相手と対峙した際は、優先順位を整理していました。出し手がパスを出せる状況の時に、「インターセプトを狙いたいけど無理だな。じゃあ前を向かせないようにしたい。でも前を向かせないのもちょっと無理そうだな」と思ったら「前を向かれてもいいから、なるべく寄せて制限をかけていこう」というように、優先順位をパン、パンと整理できるかどうかですね。

 試合を見ていると「これをインターセプトにいくのは無理でしょ」という状況でも奪いにいくCBがいますけど、それは優先順位が自分の中で整理できていなくて「俺が狙う!」ということしか考えられていないからですね。それを一瞬で判断するためには繰り返しになりますけど、「いい準備」が大事になります。“情報処理能力”が速くないといけませんし、その判断スピードは僕も試合をやりながら身につけていきました。

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