ハードワークを「やってないやつがダメだと思ってる」
今回も左WBに中村敬斗が入ったため、ミャンマー戦に続いて左寄りの攻めが増えるという見方もあったが、今回は開始早々から右サイドでグイグイと押し込むシーンが目立った。堂安は開始4分、久保との絡みからいきなり豪快な左足シュートを放つと、12分には堂安のスローインから2人でチャンスをクリエイト。この直後に上田が先制点を挙げると、よりリラックスしてプレーできるようになったのだろう。
そして迎えた19分、堂安に歓喜の瞬間が訪れる。GK大迫敬介が左の大外にいた中村にフィードを出したのが始まりだった。次の瞬間、彼が中央にいた久保に絶妙のパス。久保が一気にドリブルで持ち上がったのに呼応し、背番号10は右からゴール前に上がり、ボールを受けるとDF2人に向かって仕掛け、針の穴を通すような左足シュートをお見舞い。これをゴール右隅に決め切り、2-0とリードを広げることに成功したのだ。
「ビルドアップのところで敬斗のいいフリックから建英が空くというのは練習からやっていたこと。シュートシーンに関しては、外に開くとGKが確実にファーに来ると警戒しているんで、ニアに速いシュートを通せば入るかなって感覚があった」と本人も狙い通りの一撃だったことを明かす。
さらに日本はこの3分後にオウンゴールで3点目をゲット。早々と勝負を決める形になった。それでも、彼らはその後も気を抜くことなくプレー。堂安自身も攻守両面にハードワークをし続けた。時には最終ラインまで下がって冨安をカバー。森保監督が「うまい選手がハードワークして、攻守ともにチームに貢献するということを少年少女や日本代表を目指している選手たちに示してほしい」と求めた通りの献身的な動きを披露したと言える。
「ハードワークに関しては、最低限、やらなきゃいけないこと。評価してくれるのはもちろん嬉しいですけど、俺からすると、やってないやつがダメだと思ってる。そこは現代サッカーのベースなんで」と強調するように、高い意識を持って取り組んだのである。
実は堂安はガンバ大阪ジュニアユース時代、そしてU-16日本代表として2014年AFC・U-16選手権(タイ)に参戦した頃、左サイドバック(SB)で起用されたことがある。当時も守備タスクは要求されていたが、彼自身はその意味をよく理解していなかったという。