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日本代表 4か月前

W杯で勝ち上がるためのサンプル。サッカー日本代表の“実験”に手応えはあったのか。2戦合計10-0の評価【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Shinya Tanaka

W杯を勝ち上がるためのサンプル

サッカー日本代表の指揮官を務める森保一監督
【写真:田中伸弥】



 立ち上がりから田中碧を軸にテンポよくパスが通り、その連続したパスワークによって相手を後手に回すことができた。そのため中央突破の機会も増えた。

 先制点は中村が左サイドを縦に突破してのクロスボールを上田綺世がヘディングで合わせたサイド攻撃だが、2点目は中村→久保建英→堂安と停滞なく縦方向へつないでからの堂安のフィニッシュ。3点目はオウンゴールだが、久保の中央からのラストパスまでの形はできていた。

 後半は少し停滞した時間もあったが、スムーズなパスワークから中央、サイドの両面からチャンスは作れていた。

 72分、鎌田からのノールック気味のパスで抜け出しかけた相馬勇紀がファウルされてPKを獲得。それを相馬が決めて4-0。チャンスを逃さない執念を感じるPKだった。

 86分には伊藤洋輝が敵陣でボールを奪い、南野が正確なシュートをファーポストへ蹴り込んで5-0。最後はチームのベースである「良い守備からの良い攻撃」で締めくくった。

 実力差のある相手だったとはいえ、選手交代やシステム変更があったにもかかわらず、日本代表の連係はスムーズだった。同調性は日本代表の特徴といえる。今回は何度も代表で一緒にプレーしてきた常連組が多いとはいえ所属チームはバラバラ。それでも個々の技術の高さだけでなくアイデアを共有できる。5人を交代しても機能性が落ちず、守備的にも攻撃的にも戦えるという、W杯を勝ち上がるためのサンプルを提示した2試合となった。

 キリアン・エムバペやリオネル・メッシのようなスーパーアタッカーがいない日本代表にとって、接戦に持ち込む力と総力戦による変化や対応力はカギになると思われる。今回は大差がついたが、その武器を使って僅差勝負を制することが目標になるだろう。そのための実験として手応えがあったのではないか。

(文:西部謙司)

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【了】

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