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日本代表 4週間前

なぜ3バックが必要なのか? サッカー日本代表の事情と思惑。アジアカップの反省をワールドカップに活かすために…【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

アジアカップの反省と唯一無二の飛び道具



 敗れたイラク代表戦やイラン代表戦では特に顕著だったが、体格で劣る日本代表の右サイドバックめがけてロングボールを放り込み、全体を間延びさせて2次攻撃、3次攻撃をしかけて日本代表は疲弊させられた。

 日本代表が目指すのは能動的にゲームの主導権を握るスタイルである。ボール非保持では全体をコンパクトに保ちながら最終ラインを上げ、高い位置でボールを奪えば素早くゴールに迫り、ボール保持の局面ではできるだけ敵陣でボールを動かし、失ったら即時奪回で2次攻撃につなげたい。

 つまり、3バックを採用するのであれば、ボール非保持の局面でも後ろが重くならないよう、できるだけウイングバックを高い位置に上げて後ろは3枚で守りたい。そうすれば、相手がロングボールを多用してきたとしても、冨安や伊藤といった空中戦に強いセンターバックが競ることになり、スピードでも高さでも、ミスマッチは生まれない。

「ウイングバックの選手起用によって攻撃的なのか、守備的なのかみたいになると思う。今に関して言えば、やっぱ後ろの3枚でしっかり守れるだけの自信があるっていう判断だと思う」

 遠藤の言葉通り、後ろ3枚は実力者がひしめく。シュトゥットガルトでセンターバックを務める伊藤も含め、冨安健洋、板倉滉、町田浩樹とヨーロッパのトップFWと対峙してきた実力者が並ぶことになる。橋岡大樹も3バックの左右でプレーできるし、谷口彰悟もいる。渡辺剛や瀬古歩夢が代表から外れるくらい選手層が厚く、怪我からの復帰を目指す中山雄太もこのポジションでプレーできる。

 逃げ切るための5バックであれば導入障壁はそこまで高くないが、攻撃的、能動的な3バックを成立させるためには、相馬や前田、中村といった選手たちがウイングバックとして起用できる目処を立てる必要がある。初戦では左に中村敬斗を起用している。3日の練習では左に前田大然、右に相馬勇紀が入る時間もあった。

 そして、ここには本来、伊東純也と三笘薫という唯一無二の飛び道具がいる。しかし、先述した通り、上を目指すのであれば替えが効かない存在への依存はできるだけ避けたい。彼らの存在は圧倒的だが、彼らがいないときにも機能する次善策として、前田や中村のウイングバック起用という解決の糸口を見出したのだ。

 もう1つのポイントとして、指揮官と選手が共通して口にしている言葉がある。

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