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Jリーグ 4か月前

得点力の秘密を暴く。鹿島アントラーズが仕込む「組織と個の合せ技」。プレスを破壊する前線4人のギミック【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

苦肉の策と合理性。ロングボールを活かす仕組みとは…



 恐らくは苦肉の策だったのだろう。無理矢理にボールを繋ぎにいってボールを失い、相手のカウンターをくらい失点に繋がってしまうことは5月でも多々見られた景色であった。それならば、さっさとボールを蹴っ飛ばしてしまう判断は理に適っている。そして、そのロングボールをマイボールにするための仕組みとして、名古新太郎、仲間隼斗、師岡柊生の台頭があげられる。

 鈴木優磨を含んだ前線の4枚は非常の強力なセットとなっている。鹿島といえば、伝統の[4-2-2-2]が思い出されるが、この4枚は流動的に役割を入れ替えることで、あらゆる配置を再現することが可能となっている。

 恐らくは鈴木優磨の自由化に合わせて、周りの選手が立ち位置を調整することが出発点だった可能性が高い。今では前線の選手がどの位置でも個性を発揮できるようになっているので、相手からすれば非常に捕まえにくい構図となっている。現代風に表現すれば、5レーンを前線の4枚で共有しているイメージだ。

 特定の選手をピン留めにすることで特定の選手をフリーにするのではなく、場面によって誰がフリーになるかを選択できる鹿島の4トップへ質の高いロングボールが飛んでくるのだから、自然とロングボールをマイボールにできる確率は上がるだろう。

 さらに、師岡、名古、仲間と高さの優位性を示せそうにない選手たちも競り合いが非常にうまい。相手に自由に競らせなかったり、落下地点に素早く入り普通に競り勝ったりする。ロングボールをマイボールにできれば、そのまま速攻に移行しても良いし、味方の攻め上がりを待ってボールを保持する方向に進んでも問題がない仕掛けになっているところが本当に憎い。

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