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日本代表 3か月前

サッカー日本代表、中村敬斗は「ギラギラしている」。アジア杯での屈辱をバネに、WBで意識したプレーとは?【現地発コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「敬斗はギラギラしているのがいいですね」



 そして指揮官は62分から前田と相馬勇紀を投入。前田を左の大外に配置し、中村を2シャドーの一角に移動させた。本人はこの位置に関してはあまり準備していなかった様子だが、さすがはA代表で1年半、継続的にプレーしている選手。守田と絡んで存在感を示すなど、鈴木や川村らに比べて明らかな余裕を感じさせた。

 そのうえで、小川の2ゴールで4−0とリードした後半アディショナルタイムに得意な形から自身2点目をゲットしたのだから、文句なしだろう。中村はミャンマー戦の5−0の勝利の原動力となり、マン・オブ・ザ・マッチを獲得。代表9戦8発という驚異的な数字も残したのである。

「高い位置を取ってウイングと同じようなポジションで切れ味鋭いプレーができるのは敬斗の持ち味。あの頃(ガンバ大阪の新人時代)もだいぶ上下動できるようになったし、守備もできるようになって素晴らしい。これからもっと良くなると思います」と2018年に師事した恩師・JFA宮本恒靖会長が絶賛すれば、森保監督も「敬斗はギラギラしているのがいいですね。WBはそう簡単なポジションじゃないですし、守備で長い距離を戻ったりとかタスクがある中で、彼は攻撃のギラギラ感を出していた」と前向きに言う。自らに関わった2人の指導者からこういった評価を得られたことは、中村にとって大きな自信になったに違いない。

 この攻撃迫力をコンスタントに出せれば、最終予選以降は三笘とも互角にポジション争いができるのではないか…。そんな期待感も見る者に抱かせてくれた。

 けれども、本人は「薫君は相手がスペインでもドイツでもあのクオリティを出せるから、(自分は)まだまだ比較されるような立場じゃない。どんどん成長したいです」とさらなる野心を口にした。

 凄まじい貪欲さでこの先も前へ前へと突き進めれば、中村は本当に大化けする可能性がある。得点力は明らかに三笘より上なのだから、仕掛けの部分に磨きがかかれば、怖いものなしだ。そうやって世界を凌駕する彼の姿が近い将来、見られれば、日本にとっても大きな武器になる。この日の経験を飛躍への糧にしてくれれば理想的だ。

(取材・文:元川悦子【ミャンマー】)

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