「WBは点が結構取れるよ」
背番号13はスタートからその意識を前面に押し出した。最初の見せ場は開始早々の3分。インサイドにいた鎌田から大外でボールを受けた彼は、対面のDFを一気にかわしてポケットを取り、左足でクロスを入れた。これはDFに当たって跳ね返り、最終的に守田英正がミドルシュートを放つ形になったが、「相手を抜いてやる」というギラギラ感が色濃く見て取れた。
そこから中村はタッチライン際でパスを受けると次々とドリブルで突破。鎌田と近い距離感を保ちながらチャンスを作る。後ろの伊藤洋輝を含めた左のトライアングルもいいバランスを保っており、守備面のサポートがあった分、迷うことなく前へ出られたのだろう。
「(右の菅原)由勢はサイドバック(SB)の選手なんで、どちらかというと左の敬斗の方が攻撃的。『WBは点が結構取れるよ』という話を彼にもしました」と堂安律も左肩上がりの攻めを献身的にサポート。中村をゴールに近いエリアでプレーさせるように仕向けたことも、彼が大いに輝いた要因と言っていい。
17分の先制点もこの男から生まれた。中央右寄りの位置で守田がパスをカット。旗手怜央に渡し、最終的には鎌田が左の大きなオープンスペースに絶妙のスルーパスを出した。ここに走り込んだのが背番号13。2枚のDFをドリブルでかわして右足を一閃。股抜きで見事なゴールを奪ったのだ。5−4−1のミャンマーが守ってくる中、早い時間帯で1点をリードできたのは大きかった。この一撃はチームに安堵感を与えたのである。
さらに日本は34分に2点目を挙げる。これも中村の仕掛けからだった。伊藤洋輝からのスルーパスを受けると、今度は外をえぐるのではなく、中に持ち込み、ペナルティエリア内でフリーになっていた鎌田に横パスを出した。背番号15は反転して右足シュート。これが左ポストを強襲し、こぼれ球に堂安が反応した。これによって、日本は前半を2-0で折り返すことができた。
そうなると後半は異なるテストが可能になる。森保監督は後半頭から堂安と旗手を下げ、代表デビューの鈴木唯人と2戦目の川村拓夢を起用。新戦力の融合を図った。彼らが入ると前半のような3枚と4枚の可変、流動的なポジション変更の回数は減ったが、左WBの中村の仕掛けは健在だった。