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日本代表 4週間前

個人技頼みではなく…。サッカー日本代表の攻撃的3バックはどうだったのか? 引いた相手を前に手にした収穫とは?【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

引いた相手に対する収穫とは?



 前半は左の中村による単騎突入という従来型だったが、後半から連続したパスワークでテンポを上げる場面が増えていく。川村の運動量とスピードのあるパスがテンポアップに貢献していた。同時に、前半は守備面で相手のカウンターを刈り取る能力が光っていた守田が、攻撃の起点としても機能しはじめる。

 62分、右ウイングバックの菅原に代わって相馬勇紀。これで右サイドアタックは左同様にウイングバックに一任される形に。さらに左は前田大然がウイングバックに入り、中村が左シャドーに移動。しばらく決定機がなかったが、70分に鈴木のパスがDFに引っかかってこぼれたところを前田が拾ってシュートする(GKがセーブ)。鈴木のパスはDFの「門」を通しかけていて、中央突破の形が出てきていた。

 中央の脅威が増せばサイドも空いてくる。76分、右サイドから相馬が左足でファーポストへ蹴ったクロスを小川がヘディングで決めて3-0とする。

 前半はほとんどパスを貰えず、ほぼ「空気」になっていた小川が突然現れての得点だった。小川は84分にもこぼれ球をゲットして自身2点目、チームの4点目とした。さらにアディショナルタイムの5点目もアシスト。限られた機会に爪痕を残す勝負強さを印象づけた。その点は途中出場でアシストした相馬、2ゴールの中村も同様だった。

 アディショナルタイムの5点目は守田に代わって久々にボランチでプレーした板倉滉から小川へズバッと入れた縦パスから。小川は倒れながら中村へボールを残し、中村がダイレクトで巻くシュートを決めている。ようやく中央突破からの得点をとれたのはチームとしての収穫だろう。

 引いた相手に対して、パスのテンポを上げての中央突破は手数からしても十分とは言えなかったものの、試みとして不発ではなく、今後へつなげることはできた。中村の得点力は相変わらず高く、小川、川村、相馬、前田の活躍も選手層の厚さを改めて見せつけていた。復帰戦となった鎌田も存在感を示した。

 次のシリア代表戦は遠藤航、南野拓実を軸とした別バージョンになるだろうが、やはり何らかのテーマを持ってのテストは行われるのではないか。

(文:西部謙司)

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【了】

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