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「勝ち急がない」なぜ三菱重工浦和レッズLは連覇できたか?「塩越柚歩なら…」楠瀬直木監督は将来を見越して起用する【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤亮太 photo by Getty Images

猶本光と安藤梢の離脱をどう乗り越えたのか


「みんなで花壇を作りながら、種を蒔いて、水を撒いて、花を咲かせていく。でも、ひとりでも隠れて育てた花をむしってしまうとチームはダメになってしまいます。なので、みんなで育てていく」

 この一体感は練習場から自然と感じられる。メディア向けの公開練習日には練習開始時間30分前には半数以上の選手がピッチに集まっている。ある選手はランニングで調整すれば、コーチと話しこむ選手などさまざまだ。

「練習場は一番安心できる場所にしたい」と指揮官は言う。

 選手にとって練習場はアピールする厳しい場所であると同時に、居心地の良い場所、また明日も来たい場所でなければならない。

 チームの雰囲気の良さ。成長を促す起用。その起用を見極める目。そうしてチームを底上げしてきたなか、S広島Rとの皇后杯準決勝(24年1月20日)で大きな怪我を負った猶本・安藤の長期離脱はやはり大きな痛手となった。

「試練というか……『またこんなことがあるのか、試されるな』と感じました」と楠瀬監督は回想する一方で「『猶本、安藤、この2人がいなくて残念でしたね』とは言われたくなかったです。選手たちも悔しいし、本人たちもそう。彼女たちをリスペクトしながら勝っていくほうが美しいストーリーだと思うんです」

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