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「勝ち急がない」なぜ三菱重工浦和レッズLは連覇できたか?「塩越柚歩なら…」楠瀬直木監督は将来を見越して起用する【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤亮太 photo by Getty Images

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三菱重工浦和レッズレディースは2023/24シーズンのWEリーグを制し、連覇という偉業を成し遂げた。主力の負傷離脱もありながらも、楠瀬直木監督は選手の将来性を見極めた起用で選手の持つ可能性を広げ、戦力を底上げしている。果たして指揮官はどのような基準で選手を起用しているのだろうか。(取材・文:佐藤亮太)


WEリーグ連覇・アジア女王に輝いた三菱重工浦和レッズレディース

浦和レッズレディス
【写真:Getty Images】

 2023/24 WEリーグは三菱重工浦和レッズレディース(以下・浦和)の強さが目立ったシーズンとなった。リーグの戦績は18勝3分1敗の勝点「57」。2位のINAC神戸レオネッサ(以下・INAC神戸)に勝点「8」差をつけ優勝した。

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 浦和は1試合消化数が多いながら首位に立った14節以降、一度もその座を渡さずリーグ連覇を達成した。また得点数はリーグ最多の「55」。失点数はリーグで2番目に少ない「17」と申し分のない数字を見せた。

 さらにAFC Women’s Club Championship 2023 – Invitational Tournament(AWCCIT)ではグループステージを3戦全勝で通過すると決勝戦で韓国KWリーグの強豪・仁川現代製鉄レッドエンジェルズを2-1で下し、初のアジア女王の称号を得た。

 リーグ連覇に加えてAWCCITとの2冠達成には一貫した指導体制があった。

 2019年1月に就任した森栄次監督はこう述べている。

「彼女たちの頑張りに応えるサッカーをしたい」

 東京ヴェルディ(現在の日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でも指導歴がある森監督のもと、選手の技術力を生かした攻撃サッカー、ポジションにこだわらない相互補完サッカーで、就任1年目の2019年はプレナスなでしこリーグ1部で2位、皇后杯準優勝。2年目の2020年にはプレナスなでしこリーグ1部優勝、前年に続き皇后杯準優勝を果たし、強豪への道を歩み始めた。

 2021年、その森監督が総監督に就任すると当時浦和レッズレディースユースで指揮を執っていた楠瀬直木監督が就任。楠瀬監督はかつて東京ヴェルディユース、FC町田ゼルビアユースをはじめ、大学を含めた育成年代での指導歴が豊富で、翌2022年5月に森総監督がレッズレディースアカデミーダイレクター専任となったタイミングで本格的に采配を振るうことになった。

 以降の2シーズンは前述の通りリーグ連覇を達成しているが、毎年好成績が残せるチームまで成長できた要因はクラブ・チームが目指すサッカーを技術の高い同じメンバーで継続的に体現できたことにある。

 ただ、ここまでの道のりは実際はそう簡単ではなかった。

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