マンチェスター・ユナイテッド最新ニュース
今季のマンチェスター・ユナイテッドは、怪我人が続出して、絶望的にボロボロな状態だった。その結果、プレミアリーグ史上最も低い順位である8位という結果で終えた。この状態そのものに目をつけるのであれば、最悪のシーズンだったと言える。一方でそんな中でもFAカップで優勝出来たことは素晴らしい結果であり、望外の終わり方だった。その結果、評価の難しいシーズンとなってしまった。ではそもそも何故こうなってしまったのだろうか。(文:内藤秀明)
著者プロフィール:内藤秀明
1990年生まれ。プレミアリーグを中心にサッカーライターとして活動中。2023年には4試合解説者も務めた。またプレミアリーグのファンコミュニティ「プレミアパブ」の代表としてトークイベントやフットサルイベントなども主催している。趣味はお笑いライブを見に行くこと。
怪我人が続出…。戦術もボロボロに
【写真:Getty Images】
まず前提として、今シーズンの怪我人続出は、昨季の過密日程から問題が始まっていた。昨シーズンはプレミアリーグで38試合を戦っただけでなく、FAカップとカラバオカップの両方で決勝まで進出したこともあり、国内だけでも年間で50試合を戦っていた。そこに加えてUEFAヨーロッパリーグ(EL)で12試合戦い、クラブとして62試合を消化。年末にはワールドカップに参加した選手がいたことも考えれば、異常な試合数だった。
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これだけでも今シーズンは不調になる大きなリスクがあったにも関わらず、マンチェスター・ユナイテッドのコーチ陣はプレシーズンマッチに、高い強度の練習を選手たちに課した。昨年11月に英紙『ガーディアン』が公開した記事によると、エリック・テン・ハフ監督がプレシーズンで選手たちを酷使したことで、シーズン後のような疲労感でシーズンを始めることになったと一部の選手たちは不満を感じていたそうだ。
筆者もプレシーズンマッチの映像を全試合見たが、明らかに選手たちの身体は重く、この状態でシーズンに臨めるのか、不安に感じたことを覚えている。勝った試合でも、内容が悪いものが多かったのだ。
そしてその嫌な予感は的中した。シーズンに入ると全ポジションで怪我人が続出し、多い時は16人もの選手が戦線から離脱した。この怪我人の数は異常だ。データサイト『Opta』によると、0-4で敗れた第36節クリスタルパレス戦の時点でユナイテッドの今季の公式戦の失点数は81にまで増加。これは1976/77シーズンに記録した失点数と並び、史上最多の記録となった。もちろんこの後も失点したため、最終的に85まで失点数は増えた。
最終的に怪我人が続出した原因は、前年の過密日程やメディカルの責任、運の要素なども大きかったのだろう。ただ少なくともプレシーズンに負荷をかけすぎたことも、一因だったのだ。