「関係が悪いからこその失点」
しかし、蓋を開けてみればヴェルディが3-4-2-1で来たために、札幌も3-4-2-1にすぐ修正して、マンツーマンでハメて行くことを選択したが、ヴェルディが神戸戦とも違い、あらかじめ高い位置を取るよりも、5-4-1で守備を固めながら、奪ったらカウンターとシンプルで速い攻撃に対して、後手を踏むシーンが多くなった。岡村は「自分たちのミス……。いや、関係が悪かったりしたからこその失点があった」と振り返る。
前半8分のPKを与えたシーンは中盤まで引いたFW染野唯月に3バック左の中村桐耶が付いて行ったところで、右サイドの展開からウイングバックの翁長聖にワンタッチで裏へ切り出された。そこで岡村はボールサイドに意識を向けたところで、FW木村勇大に背中を取られる形に。最後はGK菅野孝憲が飛び出してカバーに行くが、木村を倒してしまった。
このシーンに関して岡村は「僕もセオリー的に、ボールサイドに寄ったところで、背後一発に出されたので。そこで(家泉)怜依がカバーリングに行くのか、菅さん(GK菅野)を高い位置に出すのか。僕個人は菅さんに出て欲しいといったんですけど、菅さん的には厳しいという話だった」と振り返る。マンツーマンでそれぞれが見るべき相手を決めていても、この日のヴェルディのように、瞬間的な切り替わりで裏に走ってきたり、広いスペースを使って攻められると、マークというのはボケてしまう。
特にこのシーンでは中村が染野に付いて行ったことで生じたスペースを見る形になったために、マークしているはずだった木村に一瞬裏を狙われたわけだが、岡村が語るように、GKの菅野が出てボールを処理するか、岡村の右外で木村が見えていた家泉が、瞬間的にカバーできていれば防げたPKだった。