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【欧州CL決勝分析コラム】レアル・マドリードは“憎たらしい”。中途半端な前半から、どのように優勝を掴んだのか

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

レアル・マドリードが前半に苦しんだ理由



 前半のレアル・マドリードを一言で表すと「中途半端」だった。

 被保持の局面では前からのプレスが緩かったことから配球能力の高いドルトムントの両CBから良質なフィードや縦パスが供給され、特にニコ・シュロッターベックからのサイドチェンジはレアル・マドリード側からするとかなり厄介だった。

 その中で最終ラインの設定が高かったことから簡単に裏抜けを許し、ボールホルダーにプレッシャーがかかっていないことから精度の高い1本のパスで決定機を作られた。特に21分のカリム・アデイェミの裏への抜け出しからGKティボー・クルトワと1対1を迎えたシーンは、ベルギー代表GKの圧力がなければゴールを決められてもおかしくなかった。

 逆に保持の局面ではドルトムントの両CBが前に潰す意識が強かったため、中央のジュード・ベリンガムやロドリゴにパスをつけてもなかなかボールを収められないというシーンが散見された。その結果、リスクを避けて外循環が多くなってしまい、チャンスらしいチャンスが作れないまま前半を終えていた。

 ハッキリ言って前半を終えた時点でレアル・マドリード側からは決勝戦のような緊張感が感じられなかったが、後半にアンチェロッティ監督の手腕が発揮される。

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