大卒・濃野公人が17試合で5得点
【写真:Getty Images】
「相手の方がアグレッシブにより貪欲に戦っていて、それで相手に合わせてしまったのが前半に足りない部分だった」とポポヴィッチ監督も反省点を口にする。
それでも何とか踏み止まり、32分にはリスタートから関川のヘッド弾で追いついたかと思われたが、VAR(ビデオ・アスシタント・レフェリー)判定で取り消し。3分後の師岡柊生の決定機も相手守護神・飯倉大樹のスーパーセーブに阻止された。結局、前半45分間は同点に追いつけないまま、試合を折り返すことになった。
ボール支配率もシュート数も横浜FMに上回られた鹿島。この状況を打開すべく、指揮官は後半頭からチャヴリッチを投入。これまでのように彼をサイドに入れるのではなく、1トップに配置。鈴木優磨を一列下げてトップ下にして、右に名古新太郎、左に仲間隼斗といった並びに変えたのだ。
この布陣変更と攻撃意識向上がプラスに働き、後半は彼らが猛然と押し込んだ。そして12分に待望の同点弾が生まれる。
中盤の佐野海舟の右サイドへの展開が始まりだった。インサイドに絞っていた濃野公人がボールタッチし、深い位置まで侵入した名古が精度の高いクロスを蹴り込んだ。それにゴール前でチャヴリッチが頭で反応。ファーにこぼれたボールをエース・鈴木優磨が左足で蹴り込んだのだ。
「上(のコース)はもうなかったんで、いかに下を狙うかだった。正直、かなり運もあったんですけど、何とか相手の股を抜けていいところに行きました」と背番号40は今季8点目を冷静に分析していた。
直後に横浜FMの左CKからの得点場面が訪れたが、VARでノーゴールになるという追い風もあって、鹿島の攻めはさらに迫力を増した。そして試合を決定づけたのが、74分の2点目。左サイドの低い位置で鈴木優磨がボールを受け、フリーの知念慶にパス。それを背番号13がドリブルで運んでいる間に、鹿島の右FW名古が対面の永戸勝也を引き付けてスペースを空けた。次の瞬間、後ろの濃野が凄まじい勢いで走り込んできて、ペナルティエリア内で右足を一閃。大卒ルーキーの右サイドバック(SB)が17試合目で5ゴール目をマークするという離れ業をやってのけたのだ。
「鹿島は右SBの濃野選手が数多くの得点を取っている。そこを警戒しないといけない」と横浜FMの植中朝日も語っていたが、まんまと相手のスキを突く形になった。
濃野本人も目を輝かせながらこう語った。