町野修斗の立場を変える大チャンス
再びチャンスが巡ってきたのは、自分でポジションを掴んだというよりも、主力を担っていたベネディクト・ピヒラーが負傷したことが大きかった。ただ、このチャンスを逃さなかったことが、そこからの活躍につながっていくことになる。
迎えた第16節のデュッセルドルフ戦。互いに上位争いをする中で、「もう少しで中断(ウィンターブレイク)というところもありますし、めちゃめちゃ大事にしていた」と言うように、チームとしてもこの試合に勝利しようとかなり気合が入っていた。その中で久々に先発出場の機会を得た町野は、「最低限のプレー、収めるところなどはいつも以上にできた感覚はあります」と振り返るように最前線で確かな存在感を発揮。「得点チャンスがあったので決めたかった」と悔しい部分もあったが、しっかりと準備してきたものをピッチにぶつけ、チームの勝利に貢献した。この日のパフォーマンスが次なるチャンスを切り開いた。
そこから年が明けてウインターブレイクが終わると、主力としてプレーする機会が増えることに。第22節のパーダーボルン戦で2つのアシストを記録すれば、勝利することはできなかったが、第23節のザンクトパウリ戦でも1ゴール1アシストの活躍を披露。チームのポゼッションスタイルが日に日に成熟度を増し、その上で町野のポストプレーや動き出しが光るようになっていった。
終盤戦は、ブンデスリーガを目指した昇格争いの中に身を置き、キレのある動きを見せ続けた。そしてクラブ史上初となる1部昇格を決めた第33節のデュッセルドルフ戦でも先発出場を果たし、プレッシングやポストプレーで存在感を見せて勝ち点1獲得に貢献。欧州に移籍して1年目で、“昇格”という見事な結果をチームとともに成し遂げた。
シーズン途中、キールというチームの良さを町野はこう語っていた。