「責任はある」意識の変化と成長
「こんなに勝てなかったのは初めてですね。怪我もあって手術もしたし、出場試合数もカップ戦を含めてそんなに出てない。チームもあんまりうまくいっていなくて、自分のパフォーマンスも満足できるものではないというのはあります。ただ、それはサッカーキャリアを歩んでいれば間違いなくあることだし、ちゃんとそこに向き合ってやるべきことをやっておかないといけないと思ったシーズンでもある。うまくいかなかったことに対して自分は深く考えるタイプではないので、この経験を踏まえてやり続けるしかないかなと思っています」
また、一つひとつの試合に向けた自身の思いにも変化が生まれている。「試合に出させてもらっているわけで、やはりその責任というのはある。自分の立ち位置的にももう若くない。もちろん自分のプレーにフォーカスしてやってるけど、そこだけではなく、チームのためにやらないといけないという思いも強い」とは板倉の言葉だ 。
これまでは若さもあって自分のことだけを考える時間が長かったが、年齢を重ね、チームの中核としてもプレーしなければいけない状況になってきたことで意識に変化が生まれる。「変に意識し過ぎていることはない」としつつ、「自分のこの経験を伝えなければいけない立場にもなっているし、ピッチの中で何かを変えるときにチーム全体を見れるようになっているからこそ、自分がやらないといけないというのはある」と自身のメンタル的な成長も感じ取っている。
その上で、「周りの選手よりも自分が上に行くぞという思いも忘れてない」と板倉は前を向く。チームのことも考えつつ、自身の成長にも向き合う。そうすることで、さらに上を目指していこうとする意志をより高めているのだ。
今季は苦しいシーズンだったかもしれない。ただ、それを“苦しかった”だけで終わらせるつもりもない。この1年の経験が大きかったと言えるように、様々な出来事を受け止め、それを新たなパワーに変えながら、次なるシーズンに向けて歩き出している。
(取材・文:林遼平【ドイツ】)
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