昨シーズンからの“体”の変化
攻撃チャンスになると、相手ディフェンダーが密集しているエリアに果敢に切り込んでいく南野にボールを預ける、という動きは今季のモナコの象徴的なスタイルになっていた。一歩間違えば相手にカウンターのチャンスを与えるリスクも負ったプレーだが、「そこを勇気を持ってターンできる選手がいると攻撃に繋がるし、そのターンだけで結構展開が変わるシチュエーションというのは多いので、そういうプレーを増やしていければいいかなと思っている」と覚悟をもって臨んだ南野のプレーは何度となく勝機を引き寄せた。
そして、「リスクは犯しても攻撃を追求する」というヒュッター監督のそうしたサッカー哲学が、戦術やシステムに加えて、南野だけでなく周りの選手たちにとってもやりやすいものであったことでチーム全体のパフォーマンスが向上し、その中で南野のプレーはさらに効果を発揮することになったのだった。
南野は相棒のゴロビンだけでなく、ベン・イェデルとも絶妙なコンビネーションを見せているが、「僕だけじゃなくていろんな攻撃のいい選手がいるから、お互い常に練習からどの選手と絡んでもいいコミュニケーションができるように今シーズンを通してなってきた」と手応えを口にしている。
そして南野が挙げる好調のもう一つの要因が、フィジカルトレーニングの成果だ。
昨シーズンは、「マジできつすぎて、試合のときにフレッシュじゃない」ともらしていたが、オフの間に体を強化してトレーニングの強度に自分の体を順応させ、なおかつフィジカルチームと密にコミュニケーションをとってそうした強度の高いトレーニングをどのタイミングで入れる、といった、南野いわく「対策や傾向」がわかるようになった。その結果、第7節のマルセイユ戦を内転筋痛で欠場した以外は、怪我やコンディション不良による欠場は1試合もなく、シーズンを走り切った。また、そうして休みなくコンスタントに出場を重ねることでさらに良いリズムが作れるという、昨季とは真逆の好サイクルも生み出された。
2024年の年頭には、カタールでアジアカップ準々決勝を戦った翌日にモナコのリーグ戦に途中出場、という驚愕の「中0日」出場もやってのけている。
9ゴール6アシストという今シーズンの数字的な結果については、「物足りなかったなっていうのが正直なところ」と南野は振り返る。