「チャンスだというのを感じていた」
【写真:Getty Images】
ひとつめは、監督が交代したこと。フィリップ・クレマン監督に代わって着任したオーストリア人のアディ・ヒュッター監督は、南野が初めて海外に挑戦したザルツブルク(14/15シーズン後半)での指揮官だった。
かつての指導者の就任が決まると、南野は、自分に何ができるかをアピールすべくプレシーズンから邁進。バイエルン・ミュンヘン戦で見事なシュートを決めるなどキレのあるプレーを連発し、開幕戦でスタメンの座をつかんだ。
その試合でさっそくシーズン1ゴール目をアシストしたのを皮切りに、4節までに3ゴール3アシストの大活躍でモナコのロケットスタートを牽引。8月のリーグ・アン月間MVPに選出された頃には、先発イレブンの一角を揺るぎないものにしていた。
「彼(ヒュッター監督)のやりたいサッカーというのは理解していたつもりだったので、コミュニケーションも取りやすいし、自分としては、チャンスだというのを感じていた」。
シーズン開幕から2ヶ月ほど経過した第8節のスタッド・ランス戦のあと、南野はそうコメントしている。
単に昔一緒にやっていた監督だったから、というだけでなく、ヒュッター監督が実践したいサッカーが、自分の持ち味を生かせるスタイルだったことが、南野にとってはなによりの追い風だった。クレマン監督のシステムではサイドで使われることが多く、相手と1対1のデュエル勝負に重点が置かれ、ボールを持ってラインの間に切り込んでは攻撃チャンスを作り出す、といった彼が得意とするプレーを繰り出せるタイミングはほとんどめぐってこなかった。そうして活躍するシーンがなければ出場機会も減り…という悪循環に陥った。
しかしヒュッター監督が採用する、ストライカーの後方にセカンドストライカーを配して中から崩していくシステムでは、ロシア代表MFアレクサンドル・ゴロビンとコンビを形成して、得意とするカットインやターンなど、水を得た魚のようにインパクトのあるプレーを連発している。