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Jリーグ 1か月前

妥協点はあるか? アルビレックス新潟に存在する脆さ。ボール保持が孕むジレンマをどう解決するか【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

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 2022シーズンの明治安田J2リーグを制したアルビレックス新潟は、J1・10位と昇格1年目の昨季に上々の成績を残したが、今季は16位と苦戦を強いられている。新潟の生命線であり武器ともいえるボール保持における制度設計をひも解いた前編に続き、今回は結果に結びつけるために何が必要なのかにフォーカスを当てる。(文:らいかーると)

著者プロフィール:らいかーると

1982年、浦和出身。とあるサッカーチームの監督。サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」主宰。海外サッカー、Jリーグ、日本代表戦など幅広い試合を取り上げ、ユニークな語り口で試合を分析する人気ブロガー。著書に『アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~』『森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』がある。


「他の選手の起用を考えられないレベルのプレー」(谷口海斗)

アルビレックス新潟の谷口海斗
【写真:Getty Images】

 左サイドハーフで起用されることが増えている谷口は、ウイング仕草として圧倒的な存在感となっている。ドリブルで相手のラインを下げたり、サイドで空中戦の的となったり、前線の選手の降りる動きに連携して裏に飛び出したりと、他の選手の起用が考えられないレベルのプレーを左サイドで連発している。

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 谷口の代わりに前線で存在感を増している選手は長倉幹樹だ。第3のセントラルハーフとしてビルドアップの出口となること、インサイドハーフ化してサイドのサポートを行うこと、ライン間で前を向き果敢に仕掛けること、最前線でクロスに合わせること、そして、労を惜しまずに相手にプレッシングをかけ続けることができることと獅子奮迅の活躍を見せている。なぜ最初からスタメンでなかったのか?というレベルだが、シーズンを過ごす過程のなかで発見した答えを積み重ねていくことで、選手の成長とチームの結果が手に入る可能性が増していくのではないだろうか。

 ボール保持による試合支配はスペインサッカーから輸入された思想だと解釈している。ボール保持、ボール非保持の状況をシンプルに攻撃と守備に区別するのではなく、ボールを保持して試合の主導権を握り、ボール保持によって相手の攻撃の機会を削ることは、まさに発想の転換であった。アルビレックス新潟のボール保持もこの思想がベースになっているため、ボール保持率のわりにシュートが少ないという指摘は的を少し外れている。

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