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Jリーグ 6か月前

「効率が悪い」川崎フロンターレは理想と現実の間で揺れている。主将・脇坂泰斗が語る「ちょっと危ない」思考とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

後半は防戦一方。何が変わってしまったのか

川崎フロンターレを率いる鬼木達監督
【写真:Getty Images】



「これまで個人としてもチームとしても試合を振り返ってきたなかで、自分のプレーの質がもっともっと高ければと何度も思っていた。自分の出来がチームの結果に繋がると思って、自分で自分にプレッシャーをかけて今日はゲームに入りました。それを90分間続けられなかったのがすごく悔しい」

 試合は1-1で引き分けて、3試合ぶりの勝利を逃した。後半のシュート数を比べれば、川崎Fの1本に対して柏は実に10本。防戦一方と化した展開で、59分にセットプレーからMF戸嶋祥郎に強烈なシュートを放たれる。これは脇坂が何とかブロックしたが、こぼれ球をFW木下康介に押し込まれた。

 脇坂自身も後半はシュートを放てないまま、78分にFWエリソンとの交代でベンチへ下がった。アディショナルタイムの91分に決まったかに見えたDFジェジエウの勝ち越しゴールは、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入をへてオフサイドで取り消された。

 遠野が56分に放った一撃を最後に、川崎Fはシュートすら打てないまま何とか勝ち点1を手にした。何が試合の流れを変えてしまったのか。思い当たる節があると、脇坂は試合後に明かしている。

「前半の終わりごろから、全体的にちょっとラインが低いなと思っていて…」

 ハーフタイムには全員で話し合った。しかし、問題は解消されなかった。脇坂が続ける。

「ラインが下がっていくと全体が間延びして、たとえば細谷(真大)選手が落としたボールが五分の状態でも、自分たちが戻る距離が長くなってしまい、(マテウス・)サヴィオ選手や右サイドの島村(拓弥)選手が前向きでボールに触れる場面が増えた。修正しようとしたけど、後ろの選手はどうしても背後が怖くて下がってしまう。そうなると前からプレスにいっても、蹴られたボールに対してセカンドボールへの幅がちょっと遠くなるし、必然的に僕たちのファウルが増えて押し込まれる展開が続いてしまった」

 木下の同点ゴールをさかのぼっていくと、遠野がMF白井永地を倒して与えた直接FKに行き着く。この時間帯では遠野だけでなく、島村を倒したDF大南拓磨も直前にイエローカードをもらっている。プレーで後手に回り続け、ファウルでしか止めようがなかった苦境を物語っている。

 後半のピッチで繰り返された悪循環は他にもある。低い位置からのビルドアップを柏のハイプレスに遮断され、そのまま相手の決定機に変わった場面は一度や二度ではなかった。腰痛から7試合ぶりに復帰した守護神チョン・ソンリョンが、ビッグセーブを連発していなければ大敗していた可能性もある。

 開幕からしっくりこないビルドアップを問われた脇坂は、こんな言葉を残している。

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