「狙い通り」だった華麗な先制ゴール
「その前のシーンで下を狙って松本選手に防がれていたので、それもあって上を狙いました」
先制点が生み出されるまでの崩しも完璧だった。右サイドでスローインを預けられた家長が、ペナルティーエリア内の中央から右角へ、ゆっくりとポジションを移していったFWバフェティンビ・ゴミスへ縦パスを入れる。その瞬間にゴール前にいた川崎Fの選手たちが同じビジョンを共有した。
「バフェ(ゴミス)に入った後の落としのクオリティーがすごく高いので、そこで多くの選択肢を作る、という点を全員が意識した。そのなかで、僕も前向きでバフェをサポートできた」
こう振り返った脇坂は家長の縦パスに合わせて、右タッチライン付近からペナルティーエリアの右角あたりへポジションを移していく。次の瞬間、ゴミスが選択したのは脇坂へのワンタッチでのヒールパス。以心伝心でボールを受けると、一気にスピードをあげて柏ゴール前へ迫っていく。脇坂が続ける。
「その後の(遠野)大弥とのワンツーも狙い通りでした」
パスを預けられたMF遠野大弥は柏ゴールに背を向けた体勢から、右足をボールに軽くヒットさせるワンタッチのリターンを選択する。虚を突かれるプレーの連続に、柏の選手はまったく反応できない。そのままゴール前へ抜け出した脇坂は、松本が反応できないシュートを右足でねじ込んだ。
5試合ぶりに決めた今シーズン4ゴール目で、FW山田新と並んでチームトップに躍り出た。ここまでリーグ戦で全16試合に出場している6人のうちの1人で、かつチーム最長のプレー時間1327分をマークしている脇坂の言葉は、インサイドハーフからキャプテンのそれへと変化していく。