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Jリーグ 6か月前

「効率が悪い」川崎フロンターレは理想と現実の間で揺れている。主将・脇坂泰斗が語る「ちょっと危ない」思考とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「狙い通り」だった華麗な先制ゴール



「その前のシーンで下を狙って松本選手に防がれていたので、それもあって上を狙いました」

 先制点が生み出されるまでの崩しも完璧だった。右サイドでスローインを預けられた家長が、ペナルティーエリア内の中央から右角へ、ゆっくりとポジションを移していったFWバフェティンビ・ゴミスへ縦パスを入れる。その瞬間にゴール前にいた川崎Fの選手たちが同じビジョンを共有した。

「バフェ(ゴミス)に入った後の落としのクオリティーがすごく高いので、そこで多くの選択肢を作る、という点を全員が意識した。そのなかで、僕も前向きでバフェをサポートできた」

 こう振り返った脇坂は家長の縦パスに合わせて、右タッチライン付近からペナルティーエリアの右角あたりへポジションを移していく。次の瞬間、ゴミスが選択したのは脇坂へのワンタッチでのヒールパス。以心伝心でボールを受けると、一気にスピードをあげて柏ゴール前へ迫っていく。脇坂が続ける。

「その後の(遠野)大弥とのワンツーも狙い通りでした」

 パスを預けられたMF遠野大弥は柏ゴールに背を向けた体勢から、右足をボールに軽くヒットさせるワンタッチのリターンを選択する。虚を突かれるプレーの連続に、柏の選手はまったく反応できない。そのままゴール前へ抜け出した脇坂は、松本が反応できないシュートを右足でねじ込んだ。

 5試合ぶりに決めた今シーズン4ゴール目で、FW山田新と並んでチームトップに躍り出た。ここまでリーグ戦で全16試合に出場している6人のうちの1人で、かつチーム最長のプレー時間1327分をマークしている脇坂の言葉は、インサイドハーフからキャプテンのそれへと変化していく。

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