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Jリーグ 6か月前

柏レイソル、関根大輝は「落ち込んでいた」。アジアカップ後の知られざる苦労や悩み「自分には全然なかった」ことは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

カタールから帰国後「戸惑いがすごく…」

柏レイソルのDF関根大輝
【写真:Getty Images】



 その好プレーが勝利に結びつけばよかったが、最終的には1−1のドロー。柏としては最後に与えたFKから川崎Fのジェジエウが決めたゴールがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定で取り消される幸運もあり、何とか勝ち点1を死守した格好だ。天皇杯決勝のリベンジは果たせなかったが、最低限の結果を手にしたと言えるだろう。

「チームとしてはもっと点を取れるところが前半から何本もあったので、複数得点を奪えるようになっていきたい。自分自身もシュート練習やクロスにもっとこだわりを持ってやっていくべきだと思います」と関根もチーム・個人の課題を明確に見据えていた。

 それでも、カタールから戻ってようやく納得できるプレーを見せられたことには安堵感を覚えた様子だ。U-23日本代表でアジア制覇の原動力となり、帰国した後は疲労が一気に出て、代表とチームのサッカーの違いにも直面。本来とは程遠い状態に陥ったという。

「やっぱり疲れだと思うんですけど、体が思うように動かなかった。代表とレイソルのサッカーの違いに適応する経験も自分には全然なかったんで、戸惑いがすごくありました。そういう中でも井原(正巳)監督やコーチ、先輩たちがすごく気を使ってくれた。気持ち的に落ち込んでいたところが表情にも出ていたらしく、前向きな声をかけてくれましたね。そのおかげで今回は何も考えず、シンプルにサッカーを楽しむことができた。周りにすごく感謝しています」

 関根はしみじみと語ったが、年代別代表経験の乏しい彼にとって、代表とクラブの両立というのは初めて直面した難題に違いない。しかも最終予選の大活躍で注目度が飛躍的に上昇し、どこかでメンタル的な重圧も感じていたはずだ。

 ただ、これから代表で活躍しようと思うなら、こういった難しさを乗り越えて、つねにハイレベルなパフォーマンスを出せるようにならなければならない。内田篤人(JFAロールモデルコーチ)や酒井宏樹(浦和)ら先輩たちの系譜を継ぐべく21歳の男には、その道を真っ直ぐに突き進んでほしいのだ。

「自分はまだまだA代表にたどり着くレベルにはないと思っています。毎熊(晟矢=セレッソ大阪)選手と対戦した時も、すごくうまかったし、全然レベルがまだ違うなと感じたから。自分にはクロス対応の守備という課題がある。攻撃でいい手応えをつかめたからこそ、守備の部分、1対1のアジリティを含めてもっと突き詰めていく必要があるんです」とカタールから帰国した直後にも話していたが、足りない部分を突き詰め、攻撃面のストロングを伸ばせれば、本当に森保ジャパン入りも見えてくるはずだ。

 その前に187cmの大型右SBは、柏を勝たせられる存在になることが先決。ここからの進化に大きな期待を寄せたい。

(取材・文:元川悦子)

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