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柏レイソルやサッカー日本代表でもプレーし、2023シーズン限りで現役を引退した田中順也。FC岐阜のアカデミーで指導者としてのキャリアをスタートさせた田中は、三菱養和SC時代の恩師である生方修司氏と、ストライカーを育てる環境について議論を深めていく。(取材:Footballcoach、構成:編集部)
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「エゴイストはどのように養われるんだろう」
左足から放たれる強烈なシュートは、田中順也というストライカーの代名詞だった。J1通算51得点を記録し、AFCチャンピオンズリーグやFIFAクラブワールドカップでもゴールネットを揺らした。確かな実績を残した田中は昨季限りで現役を引退し、指導者として次世代のストライカーを育成する道を歩み始めている。
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田中の頭に焼き付けられているのは、三菱養和での原体験だ。高校1年生のとき、練習でFW陣のゴール数が集計されたという。田中は当時のブラジル代表FWアドリアーノの左足の振り方を参考に、無我夢中でシュートを打ち続けると、「めちゃくちゃ入るぞ」という感覚を掴んだ。「あれは養和での記憶に残る指導の仕方だと思った。エゴイストでいい環境をコーチが作ってくれました」と振り返る。
柏レイソルではレアンドロ・ドミンゲスやジョルジ・ワグネル、ヴィッセル神戸ではダビド・ビジャやルーカス・ポドルスキとともにプレーし、ポルトガルのスポルティング・リスボンでプレーした経験もある。こういった経験は、田中の考えに影響を及ぼしている。
「海外に移籍したとき、特に南米の選手は性格がやっぱりキツい(と思った)。わがままで自分勝手で、『おれがやる!』っていうけど技術レベルは低い。でも試合になると点を取るしアシストもする。国民性もあるけど、エゴイスト(の性質)はどのように養われるんだろうと」
相馬勇紀や中村敬斗ら著名なアタッカーを輩出する三菱養和で長年に渡って指導する生方修司は、環境面の違いを指摘する。
「『勝て!』というのも別にないし、養和らしい選手を上(のカテゴリー)に上げようと。だから(結果を追求するのは)今じゃないんだっていうのは当然ある。自由を与えているから、エゴイストが育ちやすい環境なのかもしれないし、それを許容できるクラブなのかもしれない」
自由を与える一方で、生方は選手に工夫を求める。当時の田中は野球ボールサイズの小さなボールを蹴って、シュートの感覚を養っていたという。「感覚を研ぎ澄ませるのは量」と言い切る田中は、指導者として「そういうのを養える練習を子どもたちにやらせたい」と話した。
現役最後の2年間を過ごしたFC岐阜で、田中は指導者としてのキャリアをスタートさせた。対談では、さらに深いストライカー論へと話題が移っていく。