城福浩監督にとって予想外だったこと
【写真:Getty Images】
「普段競争がないと思われるポジションの選手が、今日はよくなかった」
2点ビハインドで迎えたハーフタイム。ヴェルディは左サイドバックの翁長聖に代えてFW山見大登を、そして藤尾や平河とともにU-23アジアカップを戦ったMF山田楓喜に代えてMF齋藤功佑を投入。それまで右サイドバックだった宮原を左に、右にはボランチだった綱島悠斗を回した。
特にU-23ウズベキスタン代表との決勝で値千金の決勝ゴールを決めている山田は、アジアカップでチームを離脱した期間と帰国直後の一戦を除けば、開幕から9試合すべてで右サイドハーフとして先発している。45分間での交代は、言うまでもなく今シーズンで最短だった。
山田のプレーを巻き戻していくと、前半開始直後の2分の場面に行き着く。町田陣内の右サイドで獲得した直接FKのチャンス。すでに直接FKから2ゴールを決めている左利きの山田が、最も得意とする位置でボールをセットしているところへ、翁長が近づいてきて何かを話し込み始めた。
次の瞬間、直接FKを蹴ったのは翁長だった。しかも、ボールはゴールの枠を大きく外れ、城福監督は信じられないと言わんばかりの表情で何かをつぶやいた。公式会見では次のように自らを責めている。
「われわれが用意してきた直接FKで、本来蹴るはずではなかった選手が蹴った。われわれが準備したものよりも違うものを引き出してしまった部分で、私のコントロールが効いていなかった」
おそらくは正確無比な左足を誇る山田から、町田戦へ向けてデザインされた形が繰り出されると指揮官は信じてやまなかったのだろう。プラン通りに山田が蹴らなかったのはなぜなのか。
「それは(ピッチの)中(のみんな)が『アウトスイングの方がいい』と言っていたので。なので、アウトスイングのヒジくん(翁長)の方になりました」
内情を明かした山田は、ハーフタイムで命じられた交代に「何でかな」と思ったという。